講談社BOX12ヶ月連続刊行"大河ノベル"の第四巻
2007年刊行。十二ヶ月連続。月イチ刊行の四冊目である。
因縁の相手、錆白兵との対決回か!と思わせて実はお姉ちゃん回でしたという、いかにも西尾維新らしい人を食った展開にブチ切れた読者は多いのではないだろうか。
あらすじ
鑢七花ととがめの"刀"集めは四本目に突入。決戦の場は巌流島。薄刀・針を操るのは日本最強を謳われる墜剣士・錆白兵。幕府奇策士であったとがめを裏切り、公然と公儀に対して反旗を翻したこの男の真意は何処にあるのか?かつてない強敵の登場に奮い立つ七花。果たして"日本最強"相手に虚刀流の奥義は通用するのか!?
この巻で登場する刀と対戦者
薄くて軽いが脆い。芸術品のような刀を操るのは、日本最強を謳われる錆白兵。この難敵に、七花ととがめは如何に挑むのか。前半戦の山場となる名勝負になった思うのだけど……。なにかのおまけとかでもいいから、キチンと書いて欲しかったよね。残念。
錆 白兵(さび はくへい)
堕剣士。周防の巌流島で七花と決闘する。真庭忍軍に裏切られた後、とがめに依頼されて「刀集め」にでた“日本最強の剣士”。最初に入手した薄刀「針」に魅入られて裏切った。「拙者にときめいてもらうでござる!」が口癖。女と見まごうような総髪の美青年。空に浮かぶ太陽ですら真っ二つにできるという触れ込みで、その名に恥じぬ強力で多彩な剣技を持つ。果たし状を渡すなど、古風な男である。全存在を剣にのみ懸け、それ以外は眼にも入らず、恐怖も戦慄も躊躇もない男。
20歳。身長五尺三寸。体重十一貫五斤。趣味は「剣法」。薄刀「針」(ハクトウ・ハリ)
所有者・錆白兵。「薄さ」と「軽さ」に主眼が置かれているが、劇中では「脆弱さ」がその特徴とされることもある。否定姫は「羽毛のように軽く、硝子細工のように脆い、美しき刀」と称した。
向こう側が透けて見え、刀身自体も目をこらさないと見えないほどに薄く、それ故に美しい。鞘には花の模様が描かれている。十二本の中で最も扱いにくく、壊れやすいとされており、剣筋をずらさずに完全な軌跡を描いて斬りつけなければ攻撃すら出来ない。また、当たったときに相手が身体の筋をずらしても壊れてしまうため、使い手にはこれを壊さず扱う尋常ではない高い技術が求められる。双刀「鎚」の対とされている。
最強の敵との戦いを描かない!
そろそろマンネリ打破ってことで、いきなりもの凄い妙手を繰り出して来た。錆白兵戦をすっ飛ばして、まるまる七実姉ちゃんの話であった。日本最強とか呼ばれていた錆白兵の立場もどうかと思うが、姉ちゃんの強さアピールのためだけに登場させられて、それぞれ瞬殺されたまにわに虫組の皆さんがホントに可哀想。見事なかませっぷりである。
しかし、まにわにの連中が一度に三人もやられたことには意義がある。今までは描けなかった過去の因縁話や、物語の幅を広げられるような枝エピソードを盛り込む余力が出来てくるのではないかと期待したい。もっとも、このまま進むとラスボスは普通に七実姉ちゃんで決まりってことになってしまいそうだけど……。
アニメ版でこそ錆白兵戦が見られると思った人、手を挙げて!
第三話でも煽ってたし、だいたい次回予告では戦ってたじゃん!散々期待させておいて、けっきょくアニメ版も原作同様のオチなのであった。まあ、ここで原作と展開変えちゃったら西尾作品じゃ無くなっちゃうよね。まあ、仕方ない。
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