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もはや刀じゃねえぇ!西尾維新『刀語 第五話 賊刀・鎧』

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講談社BOX12ヶ月連続刊行"大河ノベル"の第五巻

2007年刊行。十二ヶ月連続の大河小説。シリーズ五作目。

刀語 第五話 賊刀・鎧(ゾクトウ・ヨロイ) (講談社BOX)

あらすじ

日本最強の錆白兵の挑戦を退け、無事に薄刀・針を手中に収めたとがめと七花。余勢を駆って五本目の変体刀を求めた二人は、九州薩摩の地へと足を踏み入れる。目指すは賊刀・鎧。最強無比の防御力を誇るこの刀を所持するのは鎧海賊団船長・校倉必。あらゆる攻撃を跳ね返す「鎧」に対して、七花はいかにして勝負を挑むのか。

この巻で登場する刀と対戦者

今回の変体刀はその名の通り「鎧」。もはや刀じゃないじゃんという読者のツッコミは、この後の巻で更に裏切られていくことになる。

校倉 必(あぜくら かなら)
薩摩の濁音港を一手に仕切る、鎧海賊団の船長。九州男児を自称しているが、実際は琉球国で生まれ育った。この頃はただ「かなら」とだけ呼ばれており、苗字帯刀を許されているわけでなく「校倉」の名字は自分で考えたもの。幼きころ妹の「こころ」と共に父の漁船に忍び込んだ際に遠海で鎧海賊団の襲撃を受け、彼らが雑用係を欲していたのが理由でただ一人生き残った。その後はこの憎しみを秘めて当時の鎧海賊団の雑用係にされていたが、海賊団が戯れに賊刀「鎧」を彼に着せた事から「鎧」の所有者となって彼らを殲滅し、自らが新たな頭目になる。このときから生涯賊刀「鎧」を人前で脱がないことを誓った。
38歳。身長七尺五寸。体重三十九貫三斤。趣味は「釣り」。

賊刀「鎧」(ゾクトウ・ヨロイ)
所有者・校倉必。「防御力」に主眼が置かれている。否定姫は「守りに重きを置いた、巨大な防御力を有する、甲冑を模した刀」と称した。
見た目は七尺ほどの西洋甲冑。部品の継ぎ目が刃になっており、日本刀を鍛えるように作られた鎧とも言われた。受けた衝撃を外に逃がす機能を持っており、装甲を透過して内部に損傷を与える鎧通しのような技も防ぐことができる。また、一度身につけると内部からしか開けられないため、強引に脱がせることも不可能(そのため、中の人間が死ぬと事実上使用不可能になるので、収集の際とがめは七花に校倉を殺さないよう指示した)。

刀語 - Wikipedia より

ラブコメいちゃいちゃ巻だった

えーと、ひょっとして刀語のシリーズって実はラブコメ??ひたすらにバカップルのラブラブ漫遊記だった。この作品は女性キャラが少ないせいもあって、全ての萌えイベントがとがめに集中している。混浴してみたり、足踏みマッサージでふみふみされたり、「ちぇりお!」で悶絶してみたりと盛りだくさんである。隙あらばハーレム世界を構築しようとする西尾作品には珍しい展開だ。

それでも、序盤にちょこっと新キャラの否定姫が登場。毎月一冊。300枚という制約があるので、なかなか新キャラは出しにくいのだろうけど、そろそろレギュラークラスの女性キャラが欲しいところ。

刀語 第五話 賊刀・鎧(ゾクトウ・ヨロイ) (講談社BOX)

刀語 第五話 賊刀・鎧(ゾクトウ・ヨロイ) (講談社BOX)

 

アニメ版は七花の心情の変化に注目

本作の主人公、鑢七花は特殊な生い立ちであるがゆえに、人間性に問題があるというか、感情の表出に乏しいところがあるというキャラクターだ。それが、奇策士とがめとの交流の中で、どう変化していくのかってところが見所の一つでもある。 とがめにちょっかいを出す校倉必に対して、僅かにジェラシーめいた反応を見せる七花。こういう地味な描写の積み重ねは大事だよね。

刀語 第五巻 賊刀・鎧 【完全生産限定版】 [Blu-ray]

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