今週のお題「雪」に便乗。今回の舞台は壱級災害指定地域、蝦夷の踊山なのである。
講談社BOX12ヶ月連続刊行"大河ノベル"の第六巻
2007年刊行。シリーズ六作目。毎月一冊で全12冊構成なのでこれで折り返し点である。
あらすじ
校倉必の意趣返しにより、絶対凍土の地、蝦夷は踊山に送られてしまった鑢七花と奇策士とがめ。六本目の変体刀「双刀・鎚」を求め、雪中を彷徨する二人であったが、見通しの甘さから行き倒れ寸前にまで追いつめられる。絶体絶命の二人を救ったのは謎の少女凍空こなゆきだった。一方、尾張の地ではとがめの宿敵、否定姫が不気味な蠢動を始めていたのだが……。
この巻で登場する刀と対戦者
今回はこなゆきちゃん登場回である。そして貴重な七花の敗北回でもある。
双刀「鎚」(ソウトウ・カナヅチ)
所有者・凍空こなゆき(ただし、元々の所有者は凍空一族の村長の息子で、こなゆきは「鎚」の存在を知らず、とがめに聞かされて思い当たった村長の家の跡を掘り起こして発見した)。「重さ」に主眼が置かれている。
刃渡り二尺三寸ほど、鞘も鍔も刃文もなく、上下の区別もあいまいな石刀。そのためにどちらでもない自在という意味で「双」の字が当てられている。凍空 こなゆき(いてぞら こなゆき)
蝦夷の壱級災害指定地域、踊山に住む凍空一族の最後の生き残り。一人称は「うちっち」で、語尾に「っち」を付けることが多い。腕と脚の凍傷と低体温症で倒れた七花を前に慌てるとがめを発見し、二人を住居に運んだ。凍空一族は出雲のダイダラボッチを祖とし、一族特有の怪力で、この世で最も重い刀、双刀「鎚」を持ち運びできる(現在では)唯一の人物。
鑢七花の非人間性
本作の主人公たる鑢七花は、もともと隔絶された環境で育ったが故に、人間性に乏しい、人情の機微にも欠けたキャラクターとして作られている。前巻の校倉必との、とがめを巡る対決で多少なりとも感情の発露を見せた七花だったけど、とがめへの想いも、本心からそう思っているというよりは、成り行きからそうあらねばならないと思いこんでしまっている節がある。読者としては何を考えているかが判らなくて、なんとも感情移入が難しいキャラである。
七花が様々な試練を経ていく中で本来獲得しているべきであった人間性を取り戻していくのが、この物語の一つの柱だと思ううのだけど、果たしてその時に七花ととがめの関係性はどうなっているのか。最終的にはどちらかが相手の想いを裏切る形になるのではないかとなんとなく予想。ラストは七花VSとがめなんてのは面白いかも。
刀語 第六話 双刀・鎚(ソウトウ・カナヅチ) (講談社BOX)
- 作者: 西尾維新,竹
- 出版社/メーカー: 講談社
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アニメ版もこなゆきちゃんに注目(笑
決してロリとかそういう趣向が好きなわけではないよ(たぶん)。
幼女キャラが、変体刀中最大重量の質量兵器「双刀・鎚」をぶん回し、無敗の主人公を一敗地に塗れさせる意外性を楽しむ巻である。
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続巻『刀語 第七話 悪刀・鐚』の感想はこちらから!