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『嫉妬と階級の『源氏物語』』大塚ひかり

木刀対無刀の戦い、西尾維新『刀語 第九話 王刀・鋸』

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講談社BOX12ヶ月連続刊行"大河ノベル"の九作目

2007年刊行。全体の2/3が終わって、とうとうこれで残り三冊である。

刀語 第九話 王刀・鋸 (講談社BOX)

あらすじ

出羽の国。天童は将棋村を訪れたとがめと七花。四季崎記紀の残した十二本の完全なる変体刀を探し求める旅は終盤を迎えていた。この地に王刀・鋸を求めてやってきた二人は、心王一鞘流を受け継ぐ道場主汽口慚愧に出会う。交渉による変体刀入手は失敗に終わり、実力行使による七花と慚愧の対決が実現する。しかし事態は思わぬ方向へと……。

この巻で登場する刀と対戦者

変体刀の形状は、いかにして読者の意表を突くかだけに的を絞っているような気がする。とうとう今回は、木刀が相手である。

王刀「鋸」(オウトウ・ノコギリ)
所有者・汽口斬愧。「毒気のなさ」に主眼が置かれている。否定姫は「人を正し、心を正す、精神的王道を歩ます、教導的な解毒の刀」と称した。
柄を入れても三尺にも満たない木刀。毒気の無さを超えて所有者の毒気を抜く作用にまで達しており、心を正して精神的王道を歩ませる。よく手入れされており、古い時代を感じながらもつい今さっき作られたような真新しさも感じさせるといった、矛盾した印象がある。毒刀「鍍」の対とされている。

汽口 慚愧(きぐち ざんき)
棋士の聖地、出羽の将棋村に道場を構える心王一鞘流の十二代目当主。直毛で長い黒髪の女性。王刀「鋸」の性質ゆえに変体刀の毒気に当てられず、門下生のいない道場を守る、これまでの変体刀の所持者とは違う“真人間”。が、逆に“真人間”過ぎて人間味が薄く、それが門下生を離れさせたのではないかととがめは考察している。とがめに、剣ではなく将棋を取れば間違いなくとがめ以上の腕前になったであろうと評された、文武両道の人物。道場を継ぐまでは将棋三昧の日々をしていて刀の修行は殆どしていなかったが、道場を継げる者が彼女しかいなかったためやむなく継ぐこととなり、当初は嫌々だったのが王刀・鋸を手にしたとたんそのことを受け入れてしまった、という経緯がある。

刀語 - Wikipedia より

スポーツ剣術家との戦いにズッコケるの巻

将棋の国天童が今回の舞台。スポーツ剣術家汽口さんのキャラ設定は予想外の切り込みでなかなかよろしいかと。剣を持ったらマジで弱い七花に笑った。まにわにの皆さんは順調に人数減少中。人減らしておかないと終盤の展開で紙面が足りなくなりそうだからね。人も減り、蒐集すべき刀の数も減り、どんな結末をもってくるつもりなのか次あたりで終盤にかけての仕掛けが見えてくるのではないかと予想しておこう。

それにしても、この主人公カップルは、半年以上もいちゃいちゃしながら全国二人で旅しているのにキスすらしてなかったのか。あまりにライトノベルレーベルらしい、健全な男女交際のあり方に驚く。あ、でもこの二人の生い立ちを考えた場合、リアルにその手の行為を知らない可能性があるよね。

刀語 第九話 王刀・鋸 (講談社BOX)

刀語 第九話 王刀・鋸 (講談社BOX)

 

アニメ版のみどころは「三度目の女子対決」

対戦相手が女子のパターンもこれで三回目(たぶん)。女子対決といっても、毎回その戦いの有り様は違っている。過去二戦がガチの殺し合いだったのと比較して、今回は安心して見ていられたのではないだろうか。微笑ましくも楽しめる和み回であった。

汽口慚愧に対して、とがめが無駄に嫉妬心を燃やすあたりが、田村ゆかりの絶妙な演技ともあいまって、なかなかに良い絵になっていた。この語の展開を考えると、ちょっとしんみりする。

刀語 第九巻 / 王刀・鋸 【完全生産限定版】 [DVD]

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