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『水滸伝2 替天の章』北方謙三 林冲の強さがチート過ぎる!

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北方謙三版「水滸伝」第二弾!

2000年刊行作品。当面、毎週月曜日は北方謙三版「水滸伝」のレビューを一巻ずつお届けしていく。先週の第一巻に続いて、今回はその続きである。

水滸伝 2 替天の章

水滸伝 2 替天の章

  • 作者:北方 謙三
  • 発売日: 2000/10/26
  • メディア: 単行本
 

集英社文庫版は2006年に刊行されている。

水滸伝 2 替天の章 (集英社文庫)

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★★★(最大★5つ)

単巻ではなく、北方版「水滸伝」についてはシリーズ全体での評価ね。

良く知っている「水滸伝」と全然違っていても気にならない方、熱く燃え滾る漢(おとこ)の生きざまを知りたい方におススメ!

あらすじ

禁軍の槍術師範代であった林冲は陰謀により滄州の獄に落とされる。しかし林冲は医師安道全、盗人の白勝らを伴い脱獄に成功する。一方、腐敗しきった世の中を変えるべく、宋江、晁蓋の二人は遠大な計画を実行に移さんとする。叛乱の拠点として選んだのは難攻不落の城塞梁山泊。しかし彼の地は王倫率いる盗賊団の支配下にあった。二人は梁山泊を奪うべく、林冲をその内部に潜入させるのだが……。

メインキャラが揃い始めるワクワク感

ようやく話が動き始め、面白くなってきた。宋江(そうこう)が活躍し、晁蓋(ちょうがい)たち中心メンバーが遂に梁山泊入りを果たす。チート入り過ぎだろうというくらいに林冲(りんちゅう)が強過ぎる。黒帯締めて出てくるシーンはもう圧巻で格好良すぎ。

しかし強いのはいいとして、重要キャラだろうがなんだろうが、あっという間に瞬殺してしまうので、敵キャラに断末魔の台詞が全くないのがちと惜しい。北方作品らしいと言えばそれまでなのだが。

オリジナル要素の功罪

武松(ぶしょう)のエピソード改編が酷い。かねてからの想い人であった兄嫁を酔った勢いで手を出す⇒兄嫁自殺⇒兄も後追い自殺⇒武松ショック!⇒死のうとするが死ねず⇒魯智深に「お前は生きろ」とか言われて苦悩しながらも生きることに。こんな奴死んじゃえばいいんじゃね。

っていうか、そもそもオリジナルと話全然違うし。過酷な業を背負わせることで、キャラクターの人生に厚みを持たせたい意図は判るが、さすがにこれはないだろう。

隠密部隊「致死軍」のダサ格好良さ

オリジナル要素盛りだくさんの北方水滸伝だが、いいところもある。本巻では陽の当たらないところで裏の働きをする隠密部隊「致死軍」が登場する。ダサダサのネーミングセンスはいかがなものかと想うが、栄光無き陰の軍団の登場はいい感じ。梁山泊の経済的バックボーンとなる闇塩の動きと並んで、物語世界の背景を丁寧にしっかりと作りこんでいるのはお見事。こういう作りこみはいいよね。

水滸伝 二 替天の章 (集英社文庫)

水滸伝 二 替天の章 (集英社文庫)

  • 作者:北方謙三
  • 発売日: 2012/09/28
  • メディア: Kindle版
 

続巻『水滸伝3 輪舞の章』の感想はこちらからどうぞ

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