北方謙三版「水滸伝」第十六弾!
かれこれ四か月近く続けている、月曜日恒例、北方謙三版「水滸伝」全19巻の連続感想。昨週の十五巻に続いて、本日は十六巻「馳驟(ちしゅう)の章」をお届けしたい。
単行本版は2005年に刊行されている。
そして、集英社文庫版は2008年に登場。
おススメ度、こんな方におススメ!
おすすめ度:★★★★★(最大★5つ)
水滸伝と言えば高キュウ(キュウは人偏に求)だよね!という方、集団戦闘も良いけど個人戦も捨てがたいという方、ラスボス童貫の強さに戦慄したい方におススメ!
あらすじ
官軍未曾有の大攻勢を辛うじてしのぎきった梁山泊は、勢力回復までの時間稼ぎとして、仮初めの和睦戦略に売って出る。交渉に立つのは開封府の侯健。これまで戦場を離れての働きが多かったこの男が、一か八かの大勝負に挑む。一方、梁山泊のお膝元には"晁蓋を殺した男"史文恭が密かに潜入を果たしていた。迫り来る暗殺の刃を宋江らはかわすことが出来るのか。
ココからネタバレ
侯健が頑張る巻
青蓮寺の一大反抗作戦を戦略的な大技で切り返した梁山泊の面々。束の間の戦間期エピソードがこの巻だ。高キュウ(キュウは人偏に求なのだが、変換出来ない)VS侯健編
疲弊した戦力を立て直すための時間を得るために、偽りの和睦を持ちかける侯健。高キュウが相変わらず脳タリンのアンポンタンのゲス野郎でいい味出まくってる。銀英伝で言うと、トリューニヒト的なポジションを取ってしまうのだろうか。
聞煥章がヤバい
どす黒い嫉妬?の炎をメラメラと燃やす聞煥章。もはやマゾの領域。呂牛に「扈三娘の新婚生活をメチャメチャにしてオシマイ!」なんて命令したりするもんだから、扈三娘の貞操が大ピンチ!とハラハラしてしまった。しかし、意外に笑えるオチで安心した。根っからのサディスト呂牛にしてはお茶目な作戦なのであった。
史文恭の暗殺術が凄い
そして史文恭が来た!こうして好漢たちがまたしても史文恭の魔の手に落ちていく。このやりきれなさたるや半端無い。暗殺仕事を成し遂げて、ここいらが潮時とばかり颯爽と立ち去ろうとする史文恭を待ちかまえる影一つ。晁蓋を守れなかった男劉唐がここで登場なのだ。うわー、このシーンは燃えた。
洪清VS燕青が熱い
大規模戦闘は少ないモノのこの巻は個人間バトルが熱い。再度の袁明暗殺を仕掛ける公孫勝。しかしその前には北斗神拳(違)の遣い手洪清が立ちはだかる。しかし、今回は梁山泊側も切り札として燕青を帯同していた!洪清VS燕青の対決シーンは、そこだけ空気が格闘マンガの世界にシフトチェンジ。なんだよこの燃え過ぎる展開は。それにしても李師師さんって誰?まだラスボスがいるの??
ラスボス童貫がついに来た
ラスト。物語の終盤の到来を告げるべく、遂に最強の童貫軍が登場。翻る「童」の軍旗。鎧袖一触蹴散らされる史進の軍。史進を噛ませ犬に使ってみせるとはなんという贅沢な登場シーンだろうか。圧倒的強さを見せつける戦争オタクの面目躍如。ラスボスとはこうでなくてはなるまいよ。