ネコショカ

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河鍋狂斎の幽霊画から始まるミステリ、北森鴻『狂乱廿四孝』


北森鴻のデビュー作

1995年作品。第六回鮎川哲也賞受賞作。北森鴻(きたもりこう)の第一作である。『狂乱廿四孝』は「きょうらんにじゅうしこう」と読む。

作者の北森鴻は1961年生まれ。残念ながら2010年に48歳の若さで早逝されている。

狂乱廿四孝

本作の原形となったオール読物推理小説新人賞候補作「狂斉幽霊画考」を併録している。わたし的には、この作品が初北森鴻だった。本作から入って正解だったのだろうか。最初の作品ということもあり、注釈の入れかたなど、表現の端々がぎごちなくちょっと気になったかな。

単行本は東京創元社から出ていたが、文庫版は角川書店より2001年に登場している。

狂乱廿四孝 (角川文庫)

狂乱廿四孝 (角川文庫)

 

あらすじ

明治初期。脱疽により両足を切断しながらも復帰公演に挑まんとする稀代の女形、澤村田之助。しかしその周囲では無気味な連続殺人が発生していく。その背後には狂画師河鍋狂斎が描いた一枚の幽霊画の存在があった。戯作者河竹新七とその弟子お峯は事態の解決を図るべく調査に乗り出すのだが。

一枚の幽霊画からはじまるミステリ

絵を元にしたミステリというと高橋克彦の浮世絵三部作や、飛鳥部勝則の一連の作品群が想起される。篠田節子の『贋作師』なんかもそうかな。ミステリの世界と美術の世界は、けっこう相性が良い気がする。

河鍋狂斎は幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師。河鍋狂斎=河鍋暁斎だが、狂斎は暁斎に号を改める前の名乗り。明治時代初期までは河鍋狂斎を名乗っていた。『狂乱廿四孝』と云うくらいだから、ここでは「狂斎」である必要があったのかもしれない。

本作では絵の来歴にまつわる謎解き部分よりも、特殊社会である、歌舞伎界について描くことに重きを置いている。江戸から明治へ、激動の時代の中で、不動の名声を遺した数々の名優たちの姿を綴っていく。

このヘンを面白いと思えるかどうかが本作の評価の分かれ目だと思うのだが、悲惨なストーリーでありながら、あまり感傷的な方向に持っていかないのはいい感じ。血縁関係が複雑なので出来れば図解があるともっとわかりやすかったかも。

狂乱廿四孝

狂乱廿四孝