ミリア&ユリシリーズの一作目
2000年刊行作品。第18回のメフィスト賞受賞作。作者の石崎幸二(いしざきこうじ)は1963年生まれのミステリ作家。本作『日曜日の沈黙』がデビュー作である。
本作はノベルス版のみであり、残念ながら文庫化はされていない。
というか、石崎幸二の作品はこれまでに11作刊行されているのだが、おそらく一冊として文庫化されていない。うち10冊は講談社ノベルス。残る1冊は東京創元社のミステリフロンティアから出た『首鳴き鬼の島』なのだが、こちらも文庫化はされていないのだ。ある意味、これって相当にスゴイ。
おススメ度、こんな方におススメ!
おすすめ度:★★★(最大★5つ)
ヘタレな探偵キャラが、女子高生コンビに翻弄されるタイプのミステリ作品を読んでみたい方。見た目は、ユーモアタッチでも、ミステリ的にはしっかり本格!というタイプの推理小説がお好きな方。メフィスト賞作品、石崎幸二作品に興味がある方におススメ。
あらすじ
密室内で謎の死を遂げた推理作家来木来人。彼が残した「お金で買えない究極のトリック」とは何なのか。ミステリィの館に招かれた来人ゆかりの人物が次々と殺害されていく。招待客の一人、石崎幸二は櫻藍女子学院ミステリィ部の御薗ミリア、相川ユリと共に事件の謎に迫ろうとするのだが……。
ここからネタバレ
主人公名=作家名
ギャグがとにかく滑る、ヘタレミステリヲタクの探偵石崎幸二が女子高生コンビ(こっちが本命の探偵)と殺人事件?の謎を解き明かしていくミリア&ユリシリーズの第一弾でもある。
主人公の名前が作家名と同じパターン。これはミステリ作家なら誰でもやりたいことなのかとは思うけど、読んでる方は微妙に恥ずかしくて背中のあたりがモゾモゾしてくる。これってわたしだけだろうか?
事件の解明に興味を示さない二人の探偵役
ミリアとユリは真の探偵役兼、石崎へのツッコミ役として機能しているわけだが、意図的にとしか思えないほど作者は書き分けを放棄している(デビュー作だから仕方ない?)。正直二人居る意味がよくわからない。ヒロインを一人にせず焦点を分散させることで、そもそもこの作品に恋愛要素なんかないんだぞと宣言したかったのかもしれない。最終的に謎を解く役割を担わされながらも、この二人は事件の解明には全く興味を抱かず、既存のミステリを徹底的にコケにしていて、実は爽快に思えたりもした。
お金で買えない究極のトリック
問題の「お金で買えない究極のトリック」なのだが、真相にたどり着くまでの計算大会があまりに煩わしすぎないだろうか。いくらなんでもそんなの分からないだろう……。この牽強付会ぶりを笑うべきなのかな。最後の一捻りも究極と呼ぶにはインパクトがあまりに弱すぎるのだが、これは石崎のせめてもの思いやりなのかしらん。