方向模索中の本読みBlog

書評Blogの予定だけど、現在方向性模索中。基本ネタバレありなので注意してね。

わたしたちの島の話、池上永一「バガージマヌパナス」がすごくいい

第六回日本ファンタジーノベル大賞受賞作

バガージマヌパナス

バガージマヌパナス

 

ちなみに同時に大賞を受賞したのがかの怪作『鉄塔 武蔵野線』@銀林みのる。この年は当たり年だったんだね。池上永一はこの後『風車祭』が直木賞候補作品に。そして『復活、へび女』(後に『あたしのマブイ見ませんでしたか』に改題)、『レキオス』『シャングリ・ラ』『テンペスト』『ヒストリア』と良作を定期的に世に送り出している。もうキャリア二十年を超えているんだね。

あらすじ

沖縄の女子高生仲宗根綾乃は印象的な顔立ちの美少女でありながら、島でも名うてのなまけもの。日がな一日なにをするでもなくオージャーガンマーという少々惚け気味の老婆とおもしろ楽しく毎日を過ごしていた。そんな彼女に訪れた神のお告げは「村のユタになれ」というものだった。とまどいながらも成長していく綾乃の姿を躍動的に描く。

南の島の元気な女の子のお話

これはいい。すごくいい。南島モノ、ユタとかノロみたいな民俗ネタ(こういうの大好き)、無意味に元気一杯な老婆と、自分的なツボ押されまくりの本作。まず主人公の綾乃が素晴らしい。溌剌としていて、健康的。弾けそうなほどのピチピチ感が存分に描き込まれていて、なんとも魅力的なヒロインに仕上がっている。このキャラクターを創出しえただけでも素晴らしいのに、更に強烈なキャラクターオージャーガンマーが惚け老人ならではの破天荒な暴れ振りで、主役を喰いかねない印象度の強さを見せつけてくれるのだ。

物語世界の圧倒的な存在感

タイトルのバガージマヌパナスとは「わたしたちの島の話」の意。南の島の色彩豊かな風景や、そこに暮らす人々の息づかい。南の島ならではの開放的なあっけらかんとしたノリが生き生きと描写されていて、物語世界の醸し出す濃密な存在感は本当に見事なものがある。現実とは異なる別の世界の存在を感じさせること。一つの世界を創造せしめたという点で、まさしく本作は一級のファンタジーに仕上がっている。

コミカライズもあるよ

栗原まもるの作画にて、2000年にコミック版も出ているので併せておススメ。

バガージマヌパナス

バガージマヌパナス