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『嫉妬と階級の『源氏物語』』大塚ひかり

グイン・サーガ続篇144巻『流浪の皇女』なかなか話が進まない

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続篇グインも14冊目に

2018年刊行作品。栗本薫の死後に、五代ゆうと、宵野ゆめによってシリーズが再開してから五年。この巻で十四冊目となるのだが、意外にというか、やはりというべきか、物語的にはあまり進んでいない。せっかく二人執筆体制にしたのに、宵野ゆめが、病気療養で離脱してしまったのも痛いかな。

ここしばらくは、複数の場所での物語が同時並行で描かれており、それが余計に話のペースを遅く感じさせているのかもしれない。

流浪の皇女 (グイン・サーガ144巻)

あらすじ

モンゴールの残党たちに拉致されたドリアン王子を追って、スーティたち一行はアルセイスに入り探索を開始する。窮地に陥っていたワルスタット侯爵夫人とリギアだったが、突然のグインの来訪により事態は急展開を告げる。そして<新しいミロク>に魅入られていたヤガには、ようやく明るい兆しが見えてくる。一方で、あてどもなくさすらいの旅を続けて来たシルヴィアは、謎の騎士たちによりパロの首都クリスタルへと招かれる。

この巻で起きること

今回の表紙イラストは「流浪の皇女」ということなのでシルヴィアが登場。本巻では、ドリアン拉致問題を追うスーティ一行、幽閉されているアクテをめぐりリギアの奮闘話、ヤガ編の終盤戦、そして「あのお方」の手中に収まるシルヴィアの話。4つのエピソードを収録している。

アストリアス再登場

続篇に入って初めて風の騎士アストリアスが登場。ドリアン拉致勢力の一員ではあるようだが、下っ端に過ぎないようで、ホン・ウェンなる人物の主人オル・ファンが事件の主犯らしい。相変わらず使われる身分のアストリアスに悲しみを覚える。ドリアンは反イシュトヴァーン、モンゴール再興の旗印の神輿になりそう。

一方で、グラチウス、琥珀、人化したウーラという謎のパーティが結成され、ドリアンを追うスーティたち一行はイシュタールへ入る。何度も書いてるけど、スーティがスーパー赤子過ぎてヤバい。

グインがワルスタット城に到着

ワルスタットの虜囚となったリギアとマリウス。ラカント伯の過去が明かされて、稀代の詐欺師で投獄されていたところをディモスに拾われていたことがわかる。

姉アクテの救出に訪れたアウルス・アランは、グイン、アウロラの一行に合流。ワルスタット城に到着し、城に入れまいとするラカントたちと悶着を起こす。

なんでアウロラちゃんがここまで首ツッコんでるのかがいまいちよくわからないのだが、これもアッシャ同様に、非栗本キャラでない、新しい登場人物の方が作劇上動かしやすいという都合なのだろうか。ともあれ、グイン出てきて、少しは話が進むかな。

ヤガ編今度こそ終わりそう

ミロク大祭、ミロク降臨が失敗し、激発したカン・レイゼンモンロンが本来の姿に戻って暴走を開始。結局はスカールとブランに討ち取られる。さいきんスカールのモブ化が激しくて哀しい。ブランの方が目立ってる気がする。

混乱するヤガは、老僧二人と、アニルッダによって鎮静化し、ババヤガの乱心も収まる。イェライシャによって、ジャミーラ、イラーグ、ベイラーが成仏し、ヤガ編がようやく終わってくれそうな気配である。

シルヴィアは「あのお方」の手中に

シルヴィア案件は少し間が空いて140巻『ヤーンの虜』からの続き。グラチウスの手を離れ、シルヴィアは「あのお方の手中」に。ボッカの駒感半端ねえ。酷い目に遭う予感しかしない。

レムスは久しぶりの登場。キャラクター死なせ過ぎで、名実ともに地に堕ちたパロが、ここから立て直せるのか本当に疑問。

 

流浪の皇女 (グイン・サーガ144巻)

流浪の皇女 (グイン・サーガ144巻)

 

やはり、4つの場所で起きている事象を同時並行で描こうとするから、どのエピソードも少ししか進展せず、いずれも消化不良な状態になる。読み手の満足感を考えると、1つの巻は1つの事象と決めて書いてくれた方が、良いように思える。書き手が一人になったのだし、もうバラバラに書くの止めてよいのではないだろうか。

さて、続編グインの感想も、これで最新刊に追いついたかな?というところだが、数日後に145巻の『水晶宮の影』が出そう。手に入れば感想を書くつもりだけど、先に外伝の方に行こうかな?

※2019/6/22追記

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