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『ムジカ・マキーナ』高野史緒 19世紀のウィーンを舞台とした歴史改変エスエフ


高野史緒はこの作品でデビュー

1995年刊行作品。第6回の日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作に加筆修正したもの。作者の高野史緒(たかのふみお)は1966年生まれの小説家。本作『ムジカ・マキーナ』にて作家デビューを果たしている。エスエフ要素の強い歴史改変小説を数多くてがけ、2012年の『カラマーゾフの妹』では第58回の江戸川乱歩賞を受賞している。

ムジカ・マキーナ

本作の文庫版は新潮社からは刊行されず(ファンタジーノベル系作品にありがち)、2002年にハヤカワ文庫より発売されている。

ちなみにこの回の大賞は池上永一の『バガージマヌパナス』で、優秀賞が銀林みのるの『鉄塔武蔵野線』であった。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

19世紀末ヨーロッパ世界を舞台とした歴史改変系のエスエフ、ファンタジー作品を読んでみたい方。高野史緒の最初期の作品を読んでみたい方。日本ファンタジーノベル大賞系列の作品に触れてみたい方におススメ。

あらすじ

1870年のウィーン。いわくつきの麻薬「魔笛」の謎を求めこの地を訪れたベルンシュタイン公爵。そこで公爵はかねてから目を掛けていた音楽家フランツに再会する。ウィーンフィルで不遇な日々を過ごすフランツはより自由な音楽活動の道を求め悪名高来プレジャードームを訪れる。そこは「機械の音楽(ムジカ・マキーナ)」の殿堂だった。瞬く間にムジカ・マキーナに溺れていくフランツ、しかしその背後には「魔笛」の影がちらついていた。

ここからネタバレ

いろいろと惜しい作品

デビュー作ということもあってか、第二作である『カント・アンジェリコ』に比べるとやはり硬さやぎごちなさが目立つ。

「ムジカ・マキーナ」のギミックは高野史緒ならではのアナログメカ炸裂で実にいい味出ているのだけれども、謎めいた少女マリア、そいでもって実は最重要人物のサンクレールとキーとなるキャラクターについて書き込みが少なく、後半の急展開がかなりビックリで唐突感が否めない。

彼らが良いキャラクターであるだけにもったいない。また、最終章はもっとボリュームがあっても良かった。終盤はしもう少し丁寧に、重厚感たっぷりに描いて欲しかった気もするのだが、デビュー作でそこまで望むのは酷というものだろうか。

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