石動戯作がたいへんなことに
2001年刊行作品。書き下ろし作品。講談社ノベルスからの刊行だった。
『ハサミ男』『美濃牛』『黒い仏』に続く殊能将之(しゅのうまさゆき)の第四作。名探偵石動戯作(いするぎぎさく)シリーズとしては第三弾となる。
なにせ前作『黒い仏』をあんなオチにしちゃったこの作家。ある意味究極ともいえる禁じ手を使ってしまったチャレンジャーさんなのだが、それだけに今度はどう来るのかとても気になるところ。
講談社文庫版は2005年に刊行された。文庫化に際して、第五作である『樒 / 榁(しきみ / むろ)』と合本化されている。
石動戯作シリーズは全五作
ちなみに石動戯作シリーズは以下の五作が世に出ている。
- 美濃牛(2000年)
- 黒い仏(2001年)
- 鏡の中は日曜日(2001年)
- 樒 / 榁(しきみ / むろ)(2002年)
- キマイラの新しい城(2003年)
おススメ度、こんな方におススメ!
おすすめ度:★★★(最大★5つ)
殊能将之の作品を読んでみたい。石動戯作が登場するシリーズを読んでみたいと思っている方(但し、シリーズは刊行順に読むのをおススメします)。ちょっと捻りの入ったミステリ作品を読んでみたい方におススメ。
あらすじ
異端のフランス文学者瑞門龍司郎(ずいもんりゅうしろう)の住む館「梵貝荘(ぼんばいそう)」。そこはほら貝を擬した独特の構造となっていた。この館で起きた謎めいた殺人事件。何故弁護士は殺害されたのか。誰が、いかなる手段で。名探偵が告げる意外な真相。しかしこの事件の真相は間違っていた?名探偵の下した結論に歳月を経て再びスポットライトがあたるとき、隠されていた人間模様が浮かび上がってくる。
ここからネタバレ
帯にだまされる
帯にだまされた人は多いだろう。名探偵最後の事件!ああ、やっとうざったい石動戯作が消えてくれるのか。
これからはアントニオメインで、エスエフだろうが、ファンタジーだろうがなんてもこいだ。と、密かに喜んでいたアンチ石動のわたしなのだが、やはりそううまくはいかないもので、サイコサスペンス→本格ミステリ→ライトノベル(笑)と続いて今度は叙述トリックものなのだった。殊能将之の引き出しの多さよ。
またしても新たなカードを切ってきたわけで、こうなると次の作品も気になるなあ。次は重厚なハードボイルド路線を希望(石動使う段階で無理なのだけど)。