方向模索中の本読みBlog

書評Blogの予定だけど、現在方向性模索中。基本ネタバレありなので注意してね。

秋山完の初期作品集「 天象儀の星」(朝日ソノラマ/ソノラマ文庫)を堪能する

最初期の秋山完作品を楽しめる

天象儀の星 (ソノラマ文庫)

天象儀の星 (ソノラマ文庫)

 

秋山完は1995年の『ラストリーフの伝説』がデビュー作。作品数は現時点で11作。2005年の『プリンセスの義勇海賊(シュバリエ)』以降新作が無いので、ちょっと気がかり。なお、同姓だけど秋山瑞人とは違う人なので注意。

本書は小説誌「グリフォン」収録作品やハヤカワSFコンテストへの応募作、それに書き下ろし一編を加えて構成された初の短編集。書き下ろし作品以外は1992年~1994年に発表されたものなので、秋山完の初期テイストが堪能出来る一冊となっています。巻末には一連の秋山完作品の年譜が収録されており、秋山版「未来史」の全貌把握に役立ちます。これはありがたい。

あらすじ

シアトルのハイスクールの学生であった主人公はインターネットで知り合った女子大生佐野真弓に会うために日本を訪れる。彼女は主人公が長らく追い求めていた不思議な星座の存在を知っているというのだ。待ち合わせの前にふと立ち寄ったプラネタリウムが見せる束の間の幻。表題作を始めとした五編の短編を収録。

表題作「天象儀の星」

まず表題作「天象儀の星」から。天象儀とはプラネタリウムのこと。発表順でなくあえてこの作品を一番始めに持ってきたのは大正解。いきなりの掴みから泣かせにかかってきます。ラストの星空の美しさがココロに沁みてきます。なんとなく『蒲生邸事件』のラストを少し思い出しました。

「まじりけの無い光」「ミューズの額縁」「王女さまの砂糖菓子」

真ん中の三作はまとめてコメント。二作目「まじりけの無い光」。オチはすぐに見えてしまうのだが美麗な視覚的イメージを喚起させてくれる一作。三作目「ミューズの額縁」はちょっと長め。宇宙版『ギャラリーフェイク』みたいな話。って書くと身も蓋もないか。四作目「王女さまの砂糖菓子」。タイトル程甘々なハナシではないが、エスエフ的意匠をメルヒェンチックにデコレーションしていくのはやっぱりこの作家ならではの特徴。

「光響祭」

さてラストの五作目「光響祭」は書き下ろし作品。これは視覚の作家(勝手に命名)、秋山完の真骨頂ともいうべき煌びやかな彩りに満ちあふれた物語。少年と少女の日々への訣別。喪失感。そしてささやかながらも力強い未来への希望。短いながらも非常に印象的な作品です。しかし、どっかで読んだことあるキャラクターなんだけどこいつ誰だったっけ。と思っていたらやっぱり『ペリペティアの福音』の大量虐殺少女ジルーネ・ワイバー嬢でした。相変わらずの女王さまぶりが心強いです。

最後にまとめ

というわけで駆け足でコメントしてしまいましたが、率直に申し上げて非常にこっ恥ずかしい作品群です。甘々です。でも素直なココロで読んで見ましょう。あなたにも天象儀の星が見えるはず(コメントも甘々)。