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『バベル消滅』飛鳥部勝則 殺人現場に残された「バベルの塔」の謎

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飛鳥部勝則の第二作

1999年刊行作品。『殉教カテリナ車輪』に続く飛鳥部勝則(あすかべ かつのり)の第二作である。前作は第9回の鮎川哲也賞を授賞しており、本作は授賞後第一作となる。

角川文庫版は2001年に刊行されている。

バベル消滅 (角川文庫)

古い本なので、古書店でも見つけるのは難しいかもしれないが、幸い本作はKindle版が存在するので、気になる方はこちらをチェックである。

飛鳥部勝則作品で、Kindle対応になっているのは、おそらく本作と『冬のスフィンクス』だけではないかと思われる。

バベル消滅 (角川文庫)

バベル消滅 (角川文庫)

 

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

「バベルの塔」が好きな方、ブリューゲルの絵が好きな方、ミステリ×図像学の愉しさ知りたい方、尋常じゃない性格のヒロインを許容できる方ならおススメ。

あらすじ

佐渡島と粟島の中間に位置する鷹島。平穏なこの島で突如発生した殺人事件。犯人はすぐに逮捕されるが続いて不自然な事故死体が発見される。そしてまた新たな死体が。これらは連続するなんらかの犯罪なのか、それとも単なる偶然なのか。いずれの死体発見現場からも「バベルの塔」を描いた絵画が発見されるのだが。

ここからネタバレ

ミステリ×図像学が面白い

ミステリに図像学という概念を持ち込み、更に自作の絵画をそこに投入、かつてない新鮮さを感じさせた前作だったのだが、さて本作、さすがにそうそう自作の絵を次から次へと書き上げるわけにはいかないわけで、今回自作絵画は1点だけ。その他は既存の名作絵画を利用。このスタイルは量産効かないから、こうやっていくのが正解だろう。

ヒロインを許容できるかどうか

飛鳥部作品では、一風変わった登場人物がたびたび登場するが、本作のヒロインも相当なものである。奇矯な言動の数々に、これは電波出過ぎていてヤバいだろうと思うのだが、これが意外と味があって後半になってくると親しみが湧いてくるから不思議(わたしだけ?)。とはいえ、かなり好悪が別れる子だと思うので、ヒロインを許容できないと本作の評価は低いものになりそう。

ミステリとしては、今回は叙述トリック。ではあるものの、既視感のあるネタで切れ味はイマイチ。どう読んでもこれってバレバレなのでは?

バベル消滅 (角川文庫)

バベル消滅 (角川文庫)

 

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www.nununi.site

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