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『『ギロチン城』殺人事件』北山猛邦 自動人形の謎とふたりの探偵役

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北山猛邦の城シリーズ四作目

2005年刊行作品。北山猛邦(きたやまたけくに)による『『クロック城』殺人事件』 『『瑠璃城』殺人事件』『『アリス・ミラー城』殺人事件』に続く、城シリーズの四作目である。シリーズ最終作(いまのところ)ではあるが、それぞれの物語は連続しているわけではない。よって、どの作品から読み始めてもオッケーなのだが、お作法としては最初の『『クロック城』殺人事件』から読まれることをお薦めする。

ノベルス版のカバーデザインは北見隆になっていて、これまでとは少し(かなり?)テイストが異なる印象を受ける。

講談社文庫版は2009年に刊行されている。

『ギロチン城』殺人事件 城シリーズ (講談社文庫)

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

北山猛邦ならではの独特の世界観、雰囲気が好き!そして切れ味の良いトリックを堪能したい方。「ギロチン城」という言葉の響きにそそられる方。謎めいた建造物を舞台に展開される本格ミステリ系作品がお好きな方。城シリーズは全部読むと決めている方におススメ。

あらすじ

「Help」という文字を書き記す自動人形。そして残されていた女性の写真。それは助けを求める呼びかけなのか。自称探偵の幕辺と、学生の頼科は不気味な噂が残る「ギロチン城」へと乗り込む。そこは数多くの処刑具を蒐集していた古物商道桐久一郎が謎の死を遂げた場所だった。強引に城内への進入を試みた幕辺と頼科は、道桐家の奇妙な人々に出会うことになる。

ここからネタバレ

トリックが複雑すぎた?

探偵役の二人に、ヒロインが危機を伝える方法はものすごく到達確率が低そう。これ伝わるかな?万が一の可能性に賭けたという見方も出来るとは思うけど……。ってまあ、そうでないと話が始まらないか。

根本的なトリックも含めて大小の無理が各所に見受けられるのはこの作家の基本属性なので、そこを突っ込むのは無粋と言えるのかも知れないが。

豪快な物理トリックを何よりも愛する北村猛邦だが、今回の仕掛けは少々複雑に過ぎていて、いつもの見た瞬間腑に落ちるような明解なものでなかったのが惜しまれる(解説用のアニメーションGIFを配って欲しいくらいだ!)。登場人物のネーミングすらトリック構築の中に組み込んでしまう思い切りの良さはさすがだと思ったけどね。

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