「銀盤カレイドスコープ」ラスト二冊は同時刊行
2006年刊行作品。このシリーズも遂に完結目前。ラストのVol.8はVol.9と合わせての二冊同時刊行であった。
いよいよ次が大ラスの最終巻かと思うとなんだかしみじみしてしまう。
目次を見る限りでは、前巻のVol.7からの続きになっていて、最後は三冊で1セットという構成のようだ。これはちょっと判りにくい。本巻にはバンクーバー五輪前の特訓エピソードから、本番のショートプログラム部分までのエピソードが収録されている。
あらすじ
女子フィギュア界に君臨する女帝リア・ガーネット。リア打倒を高らかに宣言した桜野タズサは、ロシア人コーチ、マイヤ・キーフラによる過酷なトレーニングに耐えていた。一方タズサの挑戦を知ったリアの態度は豹変。僅かに垣間見えていた人間的な側面は消え失せ、苛烈なまでにタズサを敵視し始める。運命の日。バンクーバー五輪の開催は目前に迫っていた。
お約束の特訓エピソード
いやしかし、科学の時代にそのアナログな『巨人の星』的スポ根トレーニングはどうかと思いますよ>>マイヤコーチ(笑)。いくらなんでも、今時そこまでやらないのでは?まあ、マイヤには彼女なりの思惑があるし、ここで極限まで体を作っておいたことがあとあと効いてくるんだけど、それにしてもちょっとやりすぎに思えた。
ラスボスの女帝リア戦へと盛り上がる
これまで友好的な関係を築いてきた女帝リアと、タズサの関係は一気に険悪化。タズサの挑戦を受け、本気で潰すぞオーラを滲ませるリア(年下なのに)の迫力が素敵。プレッシャーに押しつぶされそうになるタズサの心理描写にかなりのボリュームを割いている。一巻の頃の弱いタズサが帰ってきたね。神に愛でられし天才と同時代に生まれてしまった、並の天才の悲劇。果たしてタズサはリアに勝てるのか?
銀盤カレイドスコープ vol.8 コズミック・プログラム:Big time again! (集英社スーパーダッシュ文庫)
- 作者:海原零
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/08/15
- メディア: Kindle版
アニメ版もある
コミカライズ、携帯ゲームと紹介してきて、大事な関連展開を忘れていた。 本作はアニメ版も存在するのである。
テレビ放映は2005年の秋クール。テレビ東京系でのオンエアであった。コミック版同様に、原作小説のVol.1 とVol.2中心のアニメ化となっている。監督はタカマツシンジ(高松信司)。