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『レインツリーの国』有川浩 映画化もされたロングセラーの恋愛小説

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有川浩、初の非メディアワークス作品

2006年刊行作品。有川浩(現在は「有川ひろ」)の六作目。自衛隊三部作(『塩の街』『空の中』『海の底』)、図書館戦争シリーズ(『図書館戦争』『図書館内乱』『図書館危機』『図書館革命』)と、デビュー以来、すべてメディアワークスから作品を上梓してきたこの作家にとって、初めての非メディアワークス作品であった。

同時期に刊行されたメディアワークス刊の『図書館内乱』とは出版社の枠を越えたコラボレートが実現している。内容を考慮すると、本作⇒『図書館内乱』と進んだ方が、ネタバレが回避出来るのでオススメ。逆の順番で読むと、ひとみの秘密が想像ついてしまうので、出来れば避けた方がいい。

新潮文庫版は2009年に登場。

その後、2015年に角川文庫から再文庫版が登場しており、現在手に入るのはこちらの版になるだろう。これは映画版(後述)の公開にあわせたものかな。版元が変わっても、カバーデザインがほとんど同じなので、ちょっとビックリ。

レインツリーの国 (角川文庫)

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

有川浩(ひろ)の初期作品、特に恋愛作品を読んでみたい方。図書館戦争シリーズがお好きだった方。社会派路線の、考えさせられる系の作品に興味がある方。映画版をご覧になっていて、原作も読んでみたいな!と思った方におススメ。

あらすじ

高校生時代に熱中した作品の感想が読みたくなって、向坂伸行はインターネットでとあるブログサイトにたどり着いた。ブログのタイトルは"レインツリーの国"、そして開設者のハンドルネームはひとみ。メールのやりとりを経て二人は意気投合していく。しきりに会いたがる伸行だったが、ひとみは頑なにそれを拒み続ける。それはどうしてなのか……。

ここからネタバレ

有川作品らしい社会派の恋愛小説

ネットで知り合った男女が主人公の恋愛小説。いきなり気があって、トントン拍子に仲良しになってはみたけれど、なかなか会ってくれなかった彼女には秘密があって……という展開。とにかく最初から最後までなかなかうまくいかなくて、もどかしい思いにさせられる。

とりあえずのハッピーエンドで物語は幕を下ろすが、その後の前途多難さを予想させて終わっているところは、安易に流れていなくて宜しい。相変わらず難しいテーマをこの作家はよく取り上げる。個人的に社会派ライトノベラーの称号を贈りたいところだ。

映画版は玉森裕太主演

『レインツリーの国』の映画版は2015年に公開されている。主人公の向坂伸行(さきさかのぶゆき)役は、Kis-My-Ft2のメンバーである玉森裕太が演じていた。ヒロインの人見利香(ひとみりか)は、ファッションモデル、歌手の西内まりやが演じた。監督は三宅喜重。

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