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『世界は密室でできている』舞城王太郎 「奈津川サーガ」スピンアウト作品


 

舞城王太郎の「密室本」

2002年刊行作品。舞城王太郎の三作目である。

浅暮三文の『殺しも鯖もMで始まる 地底の密室!』高里椎奈の『それでも君が』と同様に、講談社ノベルズ20周年企画「密室本」の一冊として刊行された作品である。

世界は密室でできている。 (講談社ノベルス)

講談社文庫版は2005年に登場している。

世界は密室でできている。 (講談社文庫)

世界は密室でできている。 (講談社文庫)

  • 作者:舞城 王太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2005/04/15
  • メディア: 文庫
 

あらすじ

福井県の片田舎から東京へ修学旅行へやってきた僕と名探偵ルンババ。そこで僕は破滅的な香りの漂うトラブルメーカー井上椿/榎の姉妹に遭遇してしまう。なんとか福井に戻った僕だったが、井上姉妹は東京で悪夢のような猟奇密室殺人に巻き込まれてしまう。疑いをかけられた椿を救うため、ルンババと共に僕は調査に乗り出す。

「奈津川サーガ」につながる物語

福井が舞台であることから想像がつくように、本作は奈津川サーガとは微妙に相互乗り入れをしている。主人公の友人ルンババは『煙か土か食い物』に登場する三郎の友人にして名探偵とおそらく同一人物なのであろうし、本書の後半で出てくる特殊な形(ややネタバレ回避)の密室も、件の三角蔵密室と関連があるのだろう。舞城王太郎のことだから過剰な期待は禁物だけど。

意外にも清々しい舞城作品に!

主人公がティーンエイジャーな分だけ、今回の舞城王太郎作品はややもするとマイルドな味わいに仕上がっている。前二作、『煙か土か食い物』の四郎や、『暗闇の中で子供』における三郎に比べると友紀夫は遙かに一般人かつ、常識人なのである。主人公を未成年にしたせいか、エロネタや極度のバイオレンス描写は影を潜めている。この副作用?として、悔しいことに見事なまでに清々しい味わいの青春小説が誕生してしまったのだから面白い。これ、狙ってやってるのかな。

惜しげもなく(ホントに惜しげもなく!)数多くの密室の謎が、あまりにも無造作に解き明かされていくわけだが、一番最初の密室が最後の最後で真の意味で解き放たれる、鬱積した想いが全て炸裂するカタルシス。これはたまらない快感だった。ファースト舞城としては本作を是非お奨めしたところである。

世界は密室でできている。 (講談社ノベルス)

世界は密室でできている。 (講談社ノベルス)

  • 作者:舞城 王太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/04
  • メディア: 新書
 

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