ネコショカ

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『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』西尾維新 「世界」シリーズ第四弾


「世界」シリーズの第四作、以後未完

2008年刊行作品。「世界」シリーズ四作目。タイトル22文字もあって長ええ。

このシリーズ、奇数巻は櫃内くんと病院坂黒猫の話、偶数巻は串中弔士(くしなかちょうし)と病院坂迷路(バックアップ含む)を中心とした構成となっている。

不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)

よって、偶数巻である本作では、串中弔士と病院坂迷路(バックアップだけど)が登場する。串中弔士は前回登場の『不気味で素朴な囲われた世界』から14年後。高校教諭となっての再登場である。

なお、刊行から十年余を経ているが、文庫化はされていない。店頭でもみかけなくなったし、これから読むのであればAmazonなどで探した方が早いかも。

あらすじ

病院坂迷路は、私立千載女学園の臨時教員として採用された。そこで迷路はバスケットゴールに突き刺さって死んでいる同僚教師を発見する。倫理教師で、スクールカウンセラーを務める串中弔士と共に、事件に巻き込まれていく迷路。そして第二の事件が……。それは千載女学園での凄惨な連続殺人事件のはじまりだった。

串中弔士が教師に!

しかも担当は倫理である。一番、なってはいけない人間が、教えてはいけない科目を教えているような気がする。今回も病院坂迷路が登場するが、こちらはバックアップ。オリジナルの方がどうなったかは『不気味で素朴な囲われた世界』をご参照のほどを。

学園内の七不思議に見立てられた連続殺人試験。でも、今回の素材は見立てというよりはミッシングリンクかな。でも、そんなことはどうでもよくて、混沌を作り出す男串中弔士の手にかかると、平穏な学園もこれだけメチャメチャになりますよというのが今回のお話である。ミステリとしてのディティールを深堀りする気は、さらさらない模様。

人生のピークを過ぎても、人は生きていかなくてはならない。せめてより良く生きたいと思っても、その本質は変えられない。

例のトリックみんな気が付いた?

あと、もう一つの要素として、ジェンダーを誤認させる叙述トリックが仕掛けられている。表紙のビジュアルで気付くべきところだが、第二巻『不気味で素朴な囲われた世界』でのオリジナル病院坂迷路が男装の麗人であっただけに、そこもミスリードを誘う構造になっている。

しかし、バックアップの迷路は、冴えなかった。オリジナルの方も優秀だったかと言えば微妙なところだが、こちらの方はあまりにあっけなさすぎる。これほどの状況になったら、自身にも及ぶ殺害のリスクを、さすにが想定すると思うのだけど。

不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)

不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)

 

シリーズ最終作『ぼくの世界』はいつ出るのか?

本シリーズは、次巻の『ぼくの世界』で完結予定である。「メフィスト」誌に一部掲載されているらしいのだが、残念だから掲載号を特定できなかった。つまり、『ぼくの世界』は連載途中で終わっているわけだ。シリーズが中断して既に十年を超えた。果たして完結の見込みはあるのだろうか?

『新本格魔法少女りすか』のように、物語の途中で終わっているのであれば、続きが気になるところだが、「世界」シリーズは各巻読み切りでそれなりに話の区切りがついている。それだけに、もう続きが出なくても気にならないかな。

病院坂黒猫ファンとしては、もう一度彼女の活躍を読みたかったという気もするのだが、それも『混物語(まぜものがたり)』で再登場しちゃったしね。

混物語 (講談社BOX)

混物語 (講談社BOX)