ネコショカ

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2023年に読んで面白かった新書・一般書10選

『嫉妬と階級の『源氏物語』』大塚ひかり

『復活の地』小川一水 大震災からの復興物語

小川一水による大都市災害復興シミュレーション 本日は小川一水(おがわいっすい)による『復活の地』全三巻の感想を一気にお届けしたい。『復活の地』は2004年刊行。ベストSF2004国内部門第三位の作品である。 『復活の地』はエスエフ仕立ての大都市災害復…

『シュガーな俺』平山瑞穂の三作目はまさかの糖尿病小説

自身の体験を元にした糖尿病小説! 2006年刊行。『ラス・マンチャス通信』『忘れないと誓ったぼくがいた』に続く、平山瑞穂の三作目。 帯のコピー曰く、なんと世界初の糖尿病小説らしい。33歳の若さで糖尿病と診断されてしまった作者自身の経験に基づくオート…

『天象儀の星』秋山完の初期作品集を堪能する

最初期の秋山完作品を楽しめる 秋山完(あきやまかん)は1995年の『ラストリーフの伝説』がデビュー作。作品数は現時点で11作。良い作品をいくつも書いている作家さんなのだけど、2005年の『プリンセスの義勇海賊(シュバリエ)』以降新作が無いのがとても残…

『ネリマ大好き』新井素子 練馬生まれ、練馬育ち、練馬在住民による練馬大好きエッセイ

濃厚な練馬愛に包まれる至福?の一冊 1992年刊行作品。作者の新井素子は練馬生まれの練馬育ち。高校は練馬区上石神井にある井草高校で、大学は立教。西武池袋線文化圏にどっぷり浸かって生きてきたような人間で、とにかく地元大好き。濃厚なネリマ愛が全編に…

『探偵大戦』似鳥鶏 特殊能力を持つ探偵たちの競演

似鳥鶏の最新作は異能探偵バトル 2021年刊行作品。2007年『理由あって冬に出る』でのデビュー以来、市立高校シリーズ、戦力外捜査官シリーズ他、多数の作品をリリースし続けている似鳥鶏(にたどりけい)の最新作である。 似鳥鶏の通算作品数は、現時点で30…

『思い出が消えないうちに』川口俊和 明日世界が終るとしても

三年ぶりのシリーズ最新作『さよならも言えないうちに』が出たので、過去記事を再プッシュ。本日はシリーズ三作目の『思い出が消えないうちに』を再度ご紹介したい。 不思議な喫茶店の物語第三弾 2018年刊行作品。『コーヒーの冷めないうちに』『この嘘がば…

『信長の棺』加藤廣 サラリーマン夢のリタイア生活を描く

75歳作家のデビュー作 2005年刊行作品。作者の加藤廣(かとうひろし)は1930年生まれ。東大法卒。中小企業金融公庫⇒山一証券⇒フリー。そして小説家に。なんとデビュー時で75歳! 昔はいろいろな経歴を経てから、中年以降に作家デビューってパターンは多かっ…

『ハムレット狂詩曲(ラプソディー)』服部まゆみ 演劇の世界を舞台としたミステリ

服部まゆみの六作目 服部まゆみは1948年生まれ。第7回の横溝正史賞を『時のアラベスク』で1987年に受賞。以来、著作数は少ないながらも常に水準以上の良作を送り出してきた作家。『この闇と光』が1998年の第120回直木賞の候補にもなり、各方面でも高評価を受…

『悪霊なんかこわくない』小野不由美、最初期の作品をご紹介

X文庫時代の小野不由美作品のレビューを書いてみる 先日、帰省した際に実家の本棚を片づけていたところ、初期の小野不由美作品を多数発見した。これは手元に置いておくべきだろうと、自宅に持ち返って来た。1980年代後半から、1990年代に刊行された作品群で…

『オルレアンの魔女』稲羽白菟 歴史の闇の中からよみがえる”魔女”

稲羽白菟の三作目 2021年刊行作品。作者の稲羽白菟(いなばはくと)は1975年生まれ。2016年に、『合邦の密室』が、第九回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞の準優秀作を受賞。2018年に同作で作家デビューを果たしている。その後、2020年に第二作…

『空ノ鐘の響く惑星で』渡瀬草一郎 全12巻+外伝1巻のネタバレ感想まとめ

『空ノ鐘の響く惑星で』全巻の感想を集約した タイトルの読みは「そらのかねのひびくほしで」。2003年から始まって2007年に完結した渡瀬草一郎(わたせそういちろう)の代表作だ。愛称は「空鐘(そらかね)」。本編12冊+外伝1冊の大長編作品である。この話…

『火星へ』メアリ・ロビネット・コワル 1960年代の有人火星ミッション

レディ・アストロノートシリーズの長編二作目 2021年刊行作品。作者のメアリ・ロビネット・コワル(Mary Robinette Kowal)は1969年生まれのアメリカ人作家。オリジナルの米国版は2018年に刊行されており原題は『The Fated Sky』である。 昨年紹介した『宇宙(…