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『悪霊なんかこわくない』小野不由美、最初期の作品をご紹介


X文庫時代の小野不由美作品のレビューを書いてみる

先日、帰省した際に実家の本棚を片づけていたところ、初期の小野不由美作品を多数発見した。これは手元に置いておくべきだろうと、自宅に持ち返って来た。1980年代後半から、1990年代に刊行された作品群である。

初期小野不由美作品

せっかくなので、一通り再読して感想をあげていく予定。「悪霊シリーズ」については、未読の新装版も併せて読んでみるつもり。

というわけで、本日、最初にとりあげる一冊は『悪霊なんかこわくない』である。

昭和最後の小野不由美作品

Amazonデータでは1988年12月とあるが、奥付的には1989年1月5日刊行となっている。昭和は1989年の1月7日で終了するため、いずれにしても本作は昭和の最後にリリースされた小野不由美作品であると言える。

本作は『バースディ・イブは眠れない』『メフィストとワルツ!』に続く、小野不由美の三作目の作品である。今は亡き講談社X文庫ティーンズハートからのリリースとなる。

悪霊なんかこわくない

いまとなっては「講談社X文庫ティーンズハート」って何?と思われる方々もいるかもしれないので、カンタンに説明しておこう。

講談社X文庫ティーンズハート

講談社X文庫ティーンズハート(こうだんしゃエックスぶんこティーンズハート)は、講談社が発行していたライトノベル系・少女小説系の文庫レーベル。

概要
当初、講談社はタレント本やノベライズを中心とする講談社X文庫のレーベルを持っており、そのサブレーベルとして1987年に創設されたのがティーンズハートである。コバルト文庫に比べてやや低めの年齢層をターゲットとし、改行を多用する読みやすい文体の作品が多かった。

講談社X文庫ティーンズハート - Wikipedia より

講談社から発売されていた、女性向けのライトノベルレーベルであり対象年齢は10代前半(小学校高学年~中学生くらい)。背表紙はピンク(一番上の写真の左側の方)。ヒロインによる一人称進行と、改行の超絶多用が特徴的なレーベルである。

ちなみに、これがもう少し対象年齢高めになったのがホワイトハートレーベル(写真右側の方)だが、こちらは未だ現役で稼働中。十二国記シリーズがここから出ているから、小野不由美ファンならご存知だよね。

おススメ度、こんな方におススメ!

おすすめ度:★★★(最大★5つ)

「悪霊」シリーズのファンの方。麻衣とナルのプロトタイプ的なキャラクターを見てみたい方。小野不由美の初期作品に興味のある方。小野不由美のホラー作品が好きな方におススメ。でも、現在では入手困難だと思う。復刊もされていないので……。

あらすじ

杳(はるか)は姉の嫁ぎ先である田舎の旧家、磯川家を訪れていた。久しぶりに再会した姉は酷くやつれており、かつての健康的で快活だった姿とは程遠く、杳は衝撃を受ける。屋敷を徘徊する謎の少年。金縛り。次々に起こる怪奇現象。その陰には、磯川家がかつて起こした陰惨な事件が隠されていた。

ここからネタバレ

「悪霊シリーズ」に先行する習作的な作品

『悪霊なんかこわくない』とタイトルに「悪霊」とあるが、本作は「悪霊シリーズ」ではない。快活な少女杳と、美形だが愛想のない少年蓮との組み合わせは、後の麻衣やナルに受け継がれており、本作は「悪霊シリーズ」の先駆、習作的な作品と捉えることが出来る。

霊的現象を取り扱ったホラーサスペンスでありながら、ミステリ的な謎解き要素も含んでいるという点も「悪霊シリーズ」に受け継がれている部分と言えるかな。

小野不由美の「講談社X文庫ティーンズハート」作品一覧

ちなみに「講談社X文庫ティーンズハート」時代の小野不由美作品は全10作(11冊)。一覧にしたものがこちら。

『バースデイ・イブは眠れない』(1988年9月)
『メフィストとワルツ!』(1988年12月)
⇒女子校生夕香を主人公としたサスペンスタッチの恋愛モノ

『悪霊なんかこわくない』(1989年1月) ※今回紹介している作品
⇒悪霊シリーズに先行する習作的なホラータイトル

『悪霊がいっぱい!?』(1989年7月)
『悪霊がホントにいっぱい!』(1989年10月)
『悪霊がいっぱいで眠れない』(1990年2月)
『悪霊はひとりぼっち』(1990年8月)
『悪霊になりたくない!』(1991年2月)
『悪霊とよばないで』(1991年9月)
『悪霊だってヘイキ!』上・下(1992年8月/9月)
⇒「悪霊シリーズ」。その後、メディアファクトリーから全面改稿された新装版が登場。最近になって、角川文庫版も登場した。

この中では『メフィストとワルツ!』のみ未読かつ未入手。1990年代に相当探したのだが、これ一冊だけはどうしても見つけられなかった。仕方ないから国会図書館にでも行って読もうかな。

小野不由美作品の感想はこちらから!

〇ゴーストハント(悪霊)シリーズ

『ゴーストハント1 旧校舎怪談(悪霊がいっぱい!?)』 / 『ゴーストハント2 人形の檻(悪霊がホントにいっぱい!)』 / 『ゴーストハント3 乙女ノ祈リ(悪霊がいっぱいで眠れない)』 / 『ゴーストハント4 死霊遊戯(悪霊はひとりぼっち)』 / 『ゴーストハント5 鮮血の迷宮(悪霊になりたくない!)』『ゴーストハント6 海からくるもの(悪霊と呼ばないで)』 / 『ゴーストハント7 扉を開けて(悪霊だってヘイキ!)』 / 『ゴーストハント読本』

〇十二国記シリーズ

『魔性の子』 / 『月の影 影の海』 / 『風の海 迷宮の岸』 / 『東の海神 西の滄海』 / 『風の万里 黎明の空』 / 『図南の翼』 / 『黄昏の岸 暁の天』 / 『華胥の幽夢』 / 『丕緒の鳥』  / 『白銀の墟 玄の月』

「十二国記」最新刊『白銀の墟 玄の月』を報道はどう伝えたか 

〇その他

『悪霊なんかこわくない』 / 『くらのかみ』 / 『黒祠の島』 / 『残穢』