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2020年に読んで面白かった小説10選


今年ギリギリになってしまったが、恒例の年間ベスト企画、昨日のマンガ編に続いて小説編をお届けしたい。「2020年に出た作品」ではなく、「2020年に読んだ本」が対象なのでその点は注意。また、特に順位などはつけていない。

このページに関してはネタバレなしで書いているので、未読の方も安心してお読みいただければと。

今年は読了時のTwitter投稿も入れ込んでみた。時間を置いてから読むと気恥しい部分もあるのだが、初読時のテンションが出せるかなと思ったのでご容赦頂きたい。

白の闇(ジョセ・サラマーゴ)

ポルトガルのノーベル賞作家、ジョセ・サラマーゴによる感染症パニック小説。コロナ禍の今だからこそ読みたい作品である。

白の闇 (河出文庫)

この病気の怖ろしいところは「死なない」ところ。感染率と発病率は極めて高いが、致死率はほぼゼロ。ただ視力だけが奪われていく。感染拡大を怖れた政府は、患者たちを施設に隔離。目の見えない者たちだけの社会では何が起こるのか。剥き出しにされていく人間の生存欲求がエグい。

『白の闇』の詳しい感想はこちらからどうぞ

宇宙へ(メアリ・ロビネット・コワル)

架空の1950年代アメリカが舞台。巨大隕石によって地球環境が激変し、宇宙開発を加速せざるを得なくなった人類。圧倒的な男社会の中で、女性として自己実現を図っていくヒロインたちの姿を描いた大河小説。

宇宙【そら】へ 上 (ハヤカワ文庫SF) 宇宙【そら】へ 下 (ハヤカワ文庫SF)

女性や、有色人種たち、マイノリティの権利がより低く抑えられていた時代のアメリカで、女性である主人公がいかにして自分の居場所を作り上げていくか。宇宙開発モノが好きな方であれば刺さりまくる一作。シリーズ作品が他にもあるようなので、邦訳を待ちたいところ。

『宇宙(そら)へ』の詳しい感想はこちらからどうぞ

三体2 黒暗森林(劉慈欣)

昨年の『三体』に続いてランクイン。前作で凄まじいレベルで物語の風呂敷が広がっていて、こんなに壮大な話キチンとまとめられるの?と、少々心配していたのだが、まったくの杞憂であった。失礼しました。ホントにスゴイ!!

 三体Ⅱ 黒暗森林(上) 三体Ⅱ 黒暗森林(下)

異質な思考パターン、圧倒的な技術格差、誰にも助けを求められない孤独。四面楚歌の状況下から、主人公がどう巻き返していくのか。極上の頭脳バトルで本当に面白かった。来年にでる『三体3』が本当に楽しみである。

『三体2 黒暗森林』の感想はこちらからどうぞ

ザリガニの鳴くところ(ディーリア・オーエンズ)

1950~1970年代のアメリカが舞台。家族に捨てられ、貧困の中で孤独に暮らす少女の物語。成長小説であり、恋愛小説であり、極上のミステリでもあるという贅沢な作品。

ザリガニの鳴くところ

アメリカ東海岸の湿地帯の自然描写がとにかく美しい。生活は貧しくても、前を向いて進んでいこうとするヒロインの姿が健気で応援したくなる。全世界800万部も納得のクオリティなのであった。

『ザリガニの鳴くところ』の詳しい感想はこちらからどうぞ

ハローサマー、グッドバイ(マイクル・コーニー)

今回紹介する中ではもっとも古い。1975年に書かれた作品。もはや古典とも言える作品だが、未だ瑞々しさを失わない青春エスエフの傑作である。

ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)

恥ずかしながら最初はオチの意味がよくわからなかった。何度も読み返してジワジワと真相が判明して来た時のカタルシスが半端ない。最初から最後まで、細部の描写を楽しんでいただきたい作品。青春エスエフとしても、相当にキュンキュン来るのでその点もおススメ。

『ハローサマー、グッドバイ』の詳しい感想はこちらからどうぞ

天盆(王城夕紀)

ここからは国内作品。

「天盆(てんぼん)」は将棋のような盤上遊戯。架空の中国風王朝「蓋」では「天盆」が強ければ出世の道が開ける。「天盆」に生涯を懸けた人間たちの、熱量の高い戦いが繰り広げられていく。

 天盆 (中公文庫)

貧しい平民出身の主人公が、家族や仲間たちの助けを得て、強大な国家権力に対峙していく。次から次へと表れる個性的なライバルたち。痺れる名セリフのオンパレード。読む側もとても熱い気持ちになってしまう名作。

『天盆』の詳しい感想はこちらからどうぞ

ピエタ(大島真寿美)

18世紀ヴェネツィア、高名な音楽家ヴィヴァルディの教え子だった女性を軸に展開されていく群像劇。彩り豊かに描かれていくヴェネツィアのカーニバル。その喧騒の中に垣間見える人生の哀歓。

([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)

もう若くない。人生の後半に入り、選べる生き方も限られてくる。選ばなかった人生への後悔。これから先の不安。もう会えない人々への追憶。中年期を迎えてから読むと、いろいろと身につまされて、しみじみと読めてしまう良作。BGMとして是非ヴィヴァルディの「調和の霊感」を聞いて頂きたい。

『ピエタ』の詳しい感想はこちらからどうぞ

線は、僕を描く(砥上裕將)

2020年本屋大賞第三位。というか、第59回のメフィスト賞受賞作でもあるのだが、あまり言及されなくなってきているような(帯にも書いてないし!)。

メフィスト賞らしからぬ?ミステリ要素はほとんどない青春小説にして、成長小説。

線は、僕を描く

とある事情で人生を見失っていた青年が、水墨画に出会うことから変化を遂げていく。善き師に出会うこと、同好の士と競い合えること、そして全てを忘れて没頭できる「何か」に出会えることの幸せを、静謐ながらも暖かな筆致で描いた良作。

『線は、僕を描く』の詳しい感想はこちらからどうぞ

教室が、ひとりになるまで(浅倉秋成)

浅倉秋成の出世作。わたし的な嗜好のツボをぐいぐい押してくる「学園の不思議」系作品。ミステリ的な要素に、青春小説ならではの苦味成分がほどよくブレンドされていて、終盤の展開にはゾクゾクとさせられた。

教室が、ひとりになるまで (角川書店単行本)

ちなみに、この作品は1/22に文庫版が出るようなので興味がある方はそれまで待った方がいいかも。ただ、表紙イラストは単行本版の方が好みだったかなー。裏表紙のあの人は、文庫版ではどうなるのだろうか。

『教室が、ひとりになるまで』の詳しい感想はこちらからどうぞ

処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな(葵遼太)

とある事情で、高校を留年してしまった主人公のお話。世の中には音楽から離れていても、どうしようもなく音楽に戻ってきてしまう人間がいる。青春小説にして、音楽小説。そして巨大な愛の物語。

処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな (新潮文庫)

タイトルだけで32文字。長すぎる。ツイッターの年間ベストに作者名が入れられなくなるのは、だいたいこの作品のせいである(笑)。タイトルで惹かれるひとも居れば、逆に引いてしまう人も居そうな気がする。ホントにいい話だったので、もっと多くの方に読まれて欲しい作品である。

『処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな』の詳しい感想はこちらからどうぞ

おわりに

10年近く続いた小説読めない病から回復したようなので、ことしは海外モノも多めに読んでみた。結果として10選のうち半分が海外作品となってしまった。翻訳の壁を乗り越えて来ているだけに海外作品は邦訳されている時点で一定のレベルが担保されている。来年も海外モノには引き続き手を出していく予定。

今年は新しい作家に数多く手を伸ばしてみた反面、もともと好きだった作家の既刊にまで手が回らなかった反省もある。この辺は、読書時間をどう割るかにもよるのだけど、もうすこしバランス良く読んでいきたいところ。

以上、2020年に読んで面白かった小説10選をお届けした。本年は大変お世話になりました。2021年もどうぞよろしくお願いいたします!

Twitterもやっているので、良かったらフォロー願います。

なお、新書、一般書部門のベストチョイスは、別ブログで別途(たぶん来年)お届けする予定なので、もうすこしお待ちを!

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