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夏を舞台とした傑作小説15選、青春小説からミステリ、エスエフまで


夏を舞台とした傑作小説15選

夏を舞台とした傑作小説15選

夏になると、各出版社の夏のフェアが開催されて、書店の棚がにぎやかになりますね。

ということで、このブログでも夏のフェアをやりたい!ということで、当ブログでご紹介してきた800冊以上の作品の中から、「夏を舞台」とした作品を15作ピックアップしてみました。いずれも良作揃いなので、気になる作品があったらチェックしてみてくださいね。

『夏の祈りは』須賀しのぶ

夏の祈りは (新潮文庫)

あらすじ

埼玉県立北園高校野球部。公立の進学校ながら、甲子園出場を夢見る彼らの最高成績は昭和33年の夏の地方大会準優勝。時には格下の相手に敗れ、時には善戦しながらも力尽きる。積み重ねて来た歴史と人々の想い。毎年のように惜しいところまで駒を進めながらも敗北を重ねて来た、北園高校野球部の歴史を綴る連作短編集。

『夏の祈りは』須賀しのぶ 甲子園を目指す公立校野球部の30年史より

ここがおススメ!

とある高校野球部の三十年にも及ぶ奮闘の歴史を、連作短編形式でまとめた作品。暑い季節に、汗をダラダラたらしながら読みたい一作ですね。須賀しのぶは高校野球が大好きみたいで、『雲は湧き、光あふれて』『夏空白花』と、他にも関連著作があるので併せておススです。

『夏の王国で目覚めない』彩坂美月

夏の王国で目覚めない (ハヤカワ文庫JA)

あらすじ

父の再婚により家庭内での居場所を無くした美咲は、推理作家三島加深のファンたちが集う奇妙なミステリーツアーに参加することになる。謎を解いた参加者には、三島加深の未発表作が贈呈される。ツアーの最中に発生する事件の数々。主催者"ジョーカー"の狙いは何なのか。美咲たちは次第に追い詰められていくのだが……。

『夏の王国で目覚めない』彩坂美月 ひと夏のクローズドサークルツアーより

ここがおススメ!

本格ミステリ×ひと夏の冒険。この組み合わせが素晴らしい!三重構造の複雑な物語の枠組み、ワクワクするようなクローズドサークル的な仕掛け、情緒豊かに描かれる、夏の風景が美しい。家族とのトラブルを抱えたヒロインが、自分の存在意義を見出していくまでの成長物語でもあります。

『夏の滴』桐生祐狩

夏の滴 (角川ホラー文庫)

あらすじ

N県の県庁所在地にほど近い小さな街。藤山真介と河合みゆら、徳田芳照、そしてジョンこと桃山ヨハネは仲の良い四人組だった。不可解な理由でジョンが転校していくまでは……。いじめられっ子八重垣潤が持ち込んだ植物占い。次々と失踪していくクラスメイトたち。街に伝わる奇怪な伝承。楽しい筈の夏休み親子キャンプは悲劇的結末を迎えることになる。

『夏の滴』桐生祐狩 少年の日のひと夏の冒険、、だがより

ここがおススメ!

夏休み。転校してしまった親友に会うために旅立った三人の小学生。そこはかとなく『スタンド・バイ・ミー』みたいな、「いい話」を期待してしまうのだけど、でも、ちょっと待って!この作品は「角川ホラー文庫」から出ているのです。えー!そうなっちゃうの??という超絶展開の意外さを楽しんで欲しい一作です。

『プールの底に眠る』白河三兎

プールの底に眠る (講談社文庫)

あらすじ

1995年。高校時代最後の夏休みの最終日。「僕」は裏山で首にロープを巻いていた少女「セミ」を救う。「僕」の抱える過去の闇。そして「セミ」を追い詰めている人間関係。それぞれに辛い現実を生きてきた二人は惹かれあい、次第に心の距離は近づけていく。夏の終わりの7日間で、二人がたどり着いた場所はどこか。そして13年後の真実とは……。

『プールの底に眠る』白河三兎 第42回メフィスト賞受賞作品より

ここがおススメ!

現実世界とうまく折り合えず、生きづらさを感じている「僕」と「セミ」のお話。「プールの底」にいるような静かな夏の物語です。過去編を経て、現代編パートへ。そこで明かされる驚愕の真実を知って欲しい!第42回のメフィスト賞受賞作品でもあります。

『イリヤの空 UFOの夏』秋山瑞人

【合本版】イリヤの空、UFOの夏 全4巻 (電撃文庫)

あらすじ

浅羽直之、中学二年の夏休みはUFOの夏だった。非公認団体新聞部の名物部長に引きずられ、UFOを追い求め来る日も来る日も裏山での張り込みに明け暮れた日々。夏休み最後の夜。不毛な夏の日々のせめてもの気晴らしにと学校のプールを訪れた浅羽。それが不思議な少女伊里野可奈との出会いだった。

秋山瑞人『イリヤの空 UFOの夏 その1』ライトノベルのオールタイムベストより

ここがおススメ!

秋山瑞人の最高傑作ともいえる本作は、ライトノベル史上でも屈指の名作です(断言)。真夏のボーイミーツガール。「セカイ系」。少年という存在の限界。全四巻と長めの作品ですが、終盤になるとページをめくる手がとまらなくなるノンストップ展開。是非、浅羽とイリヤの夏を見届けて欲しい!

『エンタングル:ガール』高島雄哉

エンタングル:ガール (創元SF文庫 SFた 3-2)

あらすじ

守凪了子は映画監督志望の高校一年生。活動の盛んな、舞浜南高校の映画研究部に入部した了子は、コンテストに応募するため、仲間たちとの映画撮影を開始する。しかし、部長の河能亨は言う「きみは映画監督になれない」と。この世界は揺らいでる。世界の綻びは繕わなくてはならない。撮影を継続する中で、了子はこの街に隠された謎に気づいてしまうのだが……。

『エンタングル:ガール』高島雄哉 アニメ『ゼーガペイン』のスピンアウトノベル!より

ここがおススメ!

知名度低いけど、実は名作系のアニメーション作品『ゼーガペイン』のスピンアウト小説です。ゼロ年代屈指の良作エスエフアニメなのでみんな見て!ただ『ゼーガペイン』本体のネタバレを含むので、実は先にアニメ版を見て欲しい(ハードル高っ!)。もちろん小説単体で読んでも面白いです。

『この恋が壊れるまで夏が終わらない』杉井光

この恋が壊れるまで夏が終わらない (新潮文庫)

あらすじ

僕の初恋の相手は、高校の二年上の先輩。図書委員の久米沢純香だった。本の虫である純香との図書室での日々が、彩りのなかった僕の日々を鮮やかにしていく。しかし、夏休み最後の日、先輩は変わり果てた姿で発見される。何故、彼女は死ななくてはならなかったのか。時間を「巻き戻す」能力を持つ僕は、悲劇を未然に食い止めるべく、孤独な戦いを始めるのだが……。

『この恋が壊れるまで夏が終わらない』杉井光 繰り返される夏休み最後の日より

ここがおススメ!

切ない作品を書かせたら天下一品ともいえる杉井光の最新作がこちら。夏休み最後の日、大好きな人を救うために時間を「巻き戻し」続ける主人公の姿を描いた作品です。どうして彼女を救えないのか。ラストに明かされる真相が切ない。

『君がいる風景』平谷美樹

君がいる風景 (ソノラマ文庫)

あらすじ

少年の日、自らの無力さ故に死なせてしまった美鈴の命を救いたい。二十五歳の高村哲哉は十年前の世界へとタイムスリップする。しかし過去に戻ったのは意識だけ、肉体はあの日と同じ十五歳のままだった。しかも時間移動の衝撃からか、哲哉の記憶からは美鈴の死に纏わる部分だけが抜け落ちていた。宿命付けられた少女の死。その運命を変えることは出来るのか。

『君がいる風景』平谷美樹 自らの無力さ故に死なせてしまった女の子を救いたい!より

ここがおススメ!

『この恋が壊れるまで夏が終わらない』とネタが被るけど、こちらは2002年に書かれていた時間エスエフの佳品。十代の頃の自分の肉体に、現在の自分の精神が宿る。三部けいの『僕だけがいない街』タイプのお話です。ちょっと古い作品で、電子化もされていないので、入手困難かもですが、気になる方は是非!

『サマー/タイム/トラベラー』新城カズマ

サマー/タイム/トラベラー1 サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

あらすじ

あの夏の日。悠有は確かに時間を跳んだ。それは偶然なのかそれとも必然だったのか。かくして「時空間跳躍少女開発プロジェクト」は始まり、タクトはその喧噪に巻き込まれていく。数多ものタイムトラベルSFを読みあさり、県道での時間跳躍実験が繰り返される。街で頻発する放火事件。謎の脅迫状。全ては悠有につながっていた。そして運命の日はやってくる。

『サマー/タイム/トラベラー』新城カズマ 夏に読みたい青春エスエフ小説より

ここがおススメ!

架空の小都市、辺里(ほとり)を舞台としたエスエフ作品。地方都市の閉塞感、どこにも行けない絶望感が絶妙に描かれて読み手の心を抉ります。古今のタイムトラベル作品へのオマージュとして書かれていて、いろいろな名作が登場するのが楽しいです。

『八月の博物館』瀬名秀明

八月の博物館(新潮文庫)

小学六年生の亨は夏休みのある日、謎の博物館を発見する。中心部に尖塔を持つ、青石を積み上げた左右対称の洋館。忽然と出現したその館は、古今東西世界のあらゆる場所に存在した博物館にアクセスできる夢のような場所だった。謎を読み解く鍵は古代エジプトに?美宇と名乗る奇妙な少女をパートナーに、亨の小学生時代最後の夏が始まる。

『八月の博物館』瀬名秀明「ベストSF2000」で国内部門第五位より

ここがおススメ!

小学生の主人公が見つけた「謎の博物館」。この設定がイイ!作者である瀬名秀明本人の子ども時代の体験が如実に反映されている作品です。昭和50年代に小学生だった方なら、懐かしネタ満載で、夢中で最後まで読み切ってしまうと思います。

『夏のロケット』川端裕人

夏のロケット

あらすじ

高校時代を天文部で過ごし、仲間たちと共に手作りロケットの打ち上げに没頭した過去を持つ高野。しかし別々の大学に進み、そして就職という時の流れを経ていくうちに、次第にかつての情熱は失われていく。慌しくも平凡な日々を送る高野だったが、高校時代の旧友たちが本当にロケットを打ち上げようとしていることを知り衝撃を受ける。だが、その打ち上げ計画には、高野には知らされない暗部が隠されていた。

『夏のロケット』川端裕人 サントリーミステリー大賞優秀作品賞受賞作より

ここがおススメ!

高校時代に手作りロケットの開発に没頭した高校生たちのその後を描いた作品です。弱い者が、強大なライバルに挑んでいく構図が燃えます。宇宙開発モノはこういう構図が多いですよね。ロケット開発は軍事技術と紙一重。テクノロジーの持つ、負の側面についてもしっかり言及されていて、現在読むと感慨深いと思います。

『青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏』

青ノ果テ :花巻農芸高校地学部の夏 (新潮文庫 い 123-2 nex)

あらすじ

東京からの転校生、深澤北斗の存在が佐倉七夏を変えてしまった。突如として姿を消した彼女に何があったのか。成り行きから、新設された地学部に入ることになった江口壮多は、奇しくも深澤と共に、宮沢賢治ゆかりの地を巡ることになる。イーハトーブはどこにあるのか。花巻、早池峰山、宮古、そして岩手山へ。彼らの探す「青ノ果テ」は果たして見つかるのだろうか。

『青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏』伊与原新 宮沢賢治×ロードノベルの魅力より

ここがおススメ!

宮沢賢治×ロードノベル。地学部に入ってしまった主人公が、賢治ゆかりの地を訪ね歩きます。宮沢賢治大好き、イーハトーブ大好き、『銀河鉄道の夜』大好き!という方には堪らない作品だと思います。ただ、『銀河鉄道の夜』本編の超絶ネタバレがあるので、その点はご注意ください。

『ハローサマー、グッドバイ』マイクル・コーニー

ハローサマー、グッドバイ (河出文庫)

あらすじ

政府高官である父の仕事の都合で、田舎の港町パラークシに滞在することになった少年ドローヴ。彼は地元の少女、ブラウンアイズとの恋を育てていくが、激化する隣国アスタとの戦争が二人の関係に暗い影を落とす。戦況が悪化していく中で、政府の統制は強まり、議会と町の人々の間にも不穏な空気が流れ始める。大人たちは何かを隠している。ドローヴは政府が隠す驚くべき秘密を知ることになるのだが……。

『ハローサマー、グッドバイ』マイクル・コーニイ ラスト50ページからの衝撃!より

ここがおススメ!

海外作品におけるボーイミーツガールの傑作がこちら。都会からやってきた少年が、田舎の魅力的な少女に惹かれていく物語です。エスエフ的な凝った世界観がウリの物語で、終盤の展開は必読。冒頭部分からしっかり読んでいかないとオチがわからないので、その点は気をつけましょう。

『夏草の記憶』トマス・H・クック

夏草の記憶 (文春文庫)

あらすじ

1960年代初頭。アメリカ南部の田舎町チョクトー。優等生だが内気で奥手のベン・ウェイドは北部からの転校生ケリー・トロイに夢中になる。勝ち気で美人。正義感が強くて聡明なケリーは瞬く間に学園の人気者となりベンには手の届かない存在となってしまう……。しかし惨劇は起きた。輝かしい人生を送る筈だった彼女の未来を奪ったのは誰なのか。追憶の中から蘇る事件の真相。

『夏草の記憶』トマス・H・クック、屈指のビターエンド作品より

ここがおススメ!

1960年代のアメリカを舞台とした青春群像劇です。十代の頃にしか体験出来ないような、瑞々しい恋愛の失敗シーンが共感性羞恥を誘います。魅力的なヒロインと、次第に不穏さを増してくるストーリー展開。最後に判明する、あまりにもダークなオチに震撼させられることは間違いありません。

『この夏のこともどうせ忘れる』深沢仁

この夏のこともどうせ忘れる (ポプラ文庫ピュアフル)

あらすじ

進学塾の夏合宿で圭人は、ちょっと気まずい間柄の同級生、香乃と同室になってしまう(空と窒息)。学園のヒロイン、藍莉の豪邸に招かれた千夏のひと夏の経験(昆虫標本)。毎年夏まつりに集まろうと約束した少年たち。一人去り、二人去り、そして最後に残ったのは?(宵闇の山)。梨奈の新しい彼氏には不思議なあだ名があった。その名前に秘められた暗い過去の記憶(生き残り)。父の残した別荘で夏を過ごす羽白、夜の浜辺で不思議な少年に出会う(夏の直線)。

『この夏のこともどうせ忘れる』深沢仁 十代の「特別な夏」を描いた良短編集より

ここがおススメ!

本企画のトリを務めるのはこの作品!夏の終わりに読みたい一冊がこちら。いつもだったら話すこともない相手。この夏が終わったら二度と会わない相手。10代の頃にしか体験できない「特別な夏」の出会いと別れを描いた短編集です。

おわりに

以上、このブログでご紹介した「夏を舞台」とした小説作品15作をお届けしました。春夏秋冬の中でも、夏は、なぜか特別な季節だなという実感があります。あなたにとっての特別な一冊が見つかりますように。おススメの作品があったら教えてくださいね。

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