ネコショカ

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西尾維新のデビュー作『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』


戯言シリーズのレビューを始めるよ!

平成も終わろうとしている今日この頃だが、特にいつもと変わらず、毎週火曜日恒例の西尾維新作品レビューをお届けしたい。 『刀語』シリーズの全巻レビューが終わったので、いよいよ戯言シリーズの紹介に取り掛かりたい。

戯言シリーズは、主人公の「ぼく」がさまざまな事件に遭遇しながら、その謎を解き明かしていく作品群である。初期の頃は、まがりなりにもミステリ的な作品構造を取っていたのだが、中盤以降、なぜか異能バトルになるという謎進化を遂げていく。でもそこが面白い!「物語」シリーズも素晴らしいが、わたし的には、西尾作品の一押しは依然として戯言シリーズなのである。

戯言シリーズはこちらの全9冊。

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (2002年)
クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識(2002年)
クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子(2002年)
サイコロジカル(上) 兎吊木垓輔の戯言殺し(2002年)
サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄ヒトクイマジカル(2002年)
ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹(2003年)
ネコソギラジカル(上)十三階段(2005年)
ネコソギラジカル(中)赤き征裁 vs. 橙なる種(2005年)
ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い(2005年)

最初期の『クビキリサイクル』から『サイコロジカル』までの五冊が一年間で出ていることに衝撃を覚える。あの分厚さで一年に五冊!恐ろしいほどの執筆速度である。

毎週火曜日に一冊ずつご紹介していくのでお楽しみに!

戯言シリーズの一作目

さて、改めて『クビキリサイクル』をご紹介しよう。

2002年刊行。もはや売れっ子になりすぎて、知らない方もいるかもしれないが、第23回のメフィスト賞受賞作品である。西尾維新、最初の作品だ。

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)

西尾維新は1981年生まれなので、本書刊行時で21歳。立命館大学に在学中に本作を上梓している。若くしてデビューする作家なんて、昨今珍しくもなんともないわけだが、現在の凄まじい量産ぶりを見るにつけ、西尾維新はその中でも特別な存在だったのだなと思わざるを得ない。

戯言シリーズは講談社からノベルスから刊行されており、長らく文庫化されていなかったが、2008年からようやく講談社文庫版が登場した。通常の講談社文庫のフォーマットではない、戯言シリーズ専用の装丁が施されており、西尾維新作品の特別扱いぶりが伺える。

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

 

あらすじ

絶海の中に浮かぶ島、鴉の濡れ羽島に集められた天才たち。女主人、赤神イリアが招待した五人の女性たちは、絵画、料理、科学、占術、工学、それぞれの分野で冠絶した実績をあげてきた紛れもない超人揃いだった。技術屋、玖渚友の付き添い人としてこの島へやってきた「ぼく」は、陰惨な連続殺人に巻き込まれる。次々と殺害されていく天才たち。「ぼく」は友を守ることが出来るのか。

戯言シリーズはここから始まる

ミステリ界の一芸入試メフィスト賞。数々の奇作怪作を世に送り出してきたこの章だが、本作の登場時は相当なインパクトを受けた。

のっけから連発される「ふぃーん」とか「うにー」だとか「僕様ちゃん」なんて言葉に耐えられるかどうかがまず、この話を読み進められるかどうかの試金石。ロクに風呂にも入らない頭が脂でベタベタになってる不思議な生き物を愛せるかどうかが、この物語を愛せるかどうかの分かれ目。ここでスイッチを切り替えて、積極的にキャラ萌えしてく方向に頭をもっていかないと辛いかもしれない。

と、初読時には思っていた。当時はこれほどにオタクガジェットをふんだんに投入したミステリ作品はほとんどなかったからである。しかしながら、これだけ西尾作品が世に受け入れられてしまった昨今としては、あまり違和感なく読めてしまうのかも。こんなミステリを書いてもいいんだと、推理小説世界の幅を格段に広げたという意味で、記念碑的な作品と言える。

タイトルがネタバレな件

オチとして使われている死体の利用方法は、さすがに無理があるんじゃないのと、ツッコミを激しく入れたくもなるのだが、このぽよよんとした世界観なら許してもいいか。ラストで二度、三度と話をひっくり返して読者を最後まで楽しませようとするもてなしの心は評価しなくてはなるまい。

OVA版もある

長い間出るぞ出るぞ言われていた本作のアニメ版だが、2016年に入ってようやくリリースされた。OVAの形式を取っていて全8巻。シャフトに作らせているために、「物語」シリーズにリリースが奪われて、なかなかラインが取れないのかもしれない。このペースだと全作アニメ化するのに何年かかるだろうか。