ネコショカ

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巫女子ちゃんが素敵すぎる『クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識』西尾維新


戯言シリーズの二作目

2002年刊行。前作『クビキリサイクル』の段階で、既にその雰囲気は濃厚ではあったのだが、本作でハッキリとこの作家はミステリを書くつもりなんててんでないことが理解出来た。二番目の殺人?においての、主人公に関する描写はどう考えても反則技。いわゆるフェアじゃないって奴だ。ま、ミステリじゃなくて「新青春エンタ」なのだからいいのかな。

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社文庫)

文庫版は2008年に登場している。この時期になるとイラストの竹のタッチが変わっていて、巫女子ちゃんがかなり別人で哀しい。

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社文庫)

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社文庫)

 

あらすじ 

鴉の濡れ羽島での惨劇から現実世界へと復帰した戯言遣い「いーちゃん」。クラスメイトの葵井巫女子たちとの交流が始まり、平穏な学生生活が始まるかに見えた。しかし、京都市内を徘徊する謎の連続殺人犯の存在が束の間の安寧に陰を落とす。空前絶後の殺人鬼、零崎人識との出会いは彼をどこに導いていこうとするのだろうか。

とにかく巫女子ちゃんのための一作

と、言いながらも本作の魅力はそんなことで全く損なわれない。頑ななまでの傍観者気質を徹底して終始貫こうとする主人公と、そんな不感症男に酬われることのない想いを健気に寄せるヒロイン。西尾維新はキャラの立て方や、萌え要素の盛り込み方が、初期の頃から上手い。

過剰なまでに書き込まれたヒロインのキャラクター造形。さんざ盛り上げて一気に落とすのは小説的には当たり前の手法でありながらも、それがしっかり効果を上げているのだから評価すべきだろう。ああ、この子死んじゃうんだろうなと思いながら読んでいてもこの展開は衝撃的だった。

一番目の殺人についての動機がちと弱いんじゃないか、っていうか、零崎人識は別に居なくても良かったんじゃない(人識的には今回は顔見せ巻だった)、などなど疵も多い作品ながらも、わたし的には愛すべき作品である。イラストの入れ方も演出として見事に機能しているので好印象。確かにこのシリーズが売れるのは判るな。二作目の本作で、この作家の方向性が定まった感がある。

ちなみにX/Yの意味についてはこの説が有力(超ネタバレなので注意)。せつなさ度が更にアップしてよろしいのではないかと。でも、普通こんなの考えてもわからなくない?

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社文庫)

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社文庫)