戯言シリーズの三作目
2002年刊行作品。ボリューム的には少しダウンして200頁弱。前作の半分程度である。『クビキリサイクル』『クビシメロマンチスト』に続く、シリーズの三作目となる。
今回のヒロインはロリ系美少女の紫木一姫(ゆかりきいちひめ)。アルトリコーダー振り回している段階で激しくロリ度アップ(個人の見解である)。確実にクリティカルな萌えツボ突いてくる西尾維新。侮れない。
文庫版は2008年に登場している。巫女子ちゃん同様、竹のイラストタッチがかなり変わっていて、姫ちゃんじゃないように見える。ノベルス派的にはかなりの違和感。
おススメ度、こんな方におススメ!
おすすめ度:★★★(最大★5つ)
濃いキャラクターたちが縦横無尽に暴れまわる作品を読んでみたい方。西尾維新ならではの絶妙な会話劇を楽しみたい方。比較的、短時間で読める西尾作品を探している方。作品のテイストが途中で変わっても気にしない方におススメ。
あらすじ
人類最強の請負人、哀川潤の魔の手にハマリ、私立澄百合女学園への極秘潜入を命じられた「いーちゃん」。首吊高校の異名を持つこの学園から、ある女生徒を救出することが目的だ。無事に保護対象である紫木一姫に出会うことが出来たが、次から次へと現れる刺客が戯言遣いを追いつめる。学園の秘密とは?最強の暗殺者ジグザグとは何者なのか。
ここからネタバレ
この巻からミステリではない別のなにかに
ミステリ的な流れからは完全に脱却して、西尾維新的なハチャメチャ学園アクションが展開するのが本作である。いくらなんでもそんな奴、日本にいないだろ、ってなツッコミはもう野暮なのだ。日本刀を振り回す<<策士>>萩原子荻。忍者スタイルの<<闇突>>西条玉藻。そして最強の糸遣い<<ジグザグ>>。この荒唐無稽な世界をここは素直に楽しんでおくのが勝ち組だ。どの登場人物もキャラが濃くて素晴らしい。
テーマ的には自分の居場所探し
戦い続け、屍体の山を築くことでしか、自らの存在を表現出来なかったジグザグ。その悲劇を相変わらず「僕は関係者じゃありません」的な態度で生暖かく見守る「いーちゃん」。この無関心振りが、ワカモノ層の共感を呼んでいるのではなかろうか。深入りしなければ自分は傷つかないで済むわけだが、自分に火の粉が飛んできたときに戯言遣いはどう対応するのか、少しずつ彼の秘密が見えてきたところで、この先の展開に期待したい。
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〇戯言シリーズ
クビキリサイクル / クビシメロマンチスト / クビツリハイスクール / サイコロジカル(上・下) / ヒトクイマジカル / ネコソギラジカル(上) / ネコソギラジカル(中) / ネコソギラジカル(下) / ザレゴトディクショナル / キドナプキディング
〇人間シリーズ
零崎双識の人間試験 / 零崎軋識の人間ノック / 零崎曲識の人間人間 / 零崎人識の人間関係(匂宮出夢との関係 / 無桐伊織との関係 / 零崎双識との関係 / 戯言遣いとの関係)
〇最強シリーズ
人類最強の初恋 / 人類最強の純愛 / 人類最強のときめき / (人類最強のヴェネチア)