ネコショカ

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『殴り合う貴族たち』繁田信一
藤原実資「小右記」から読む平安貴公子のご乱行

青春小説

『天帝のつかわせる御矢』古野まほろ シリーズ第二弾は豪華列車内での密室殺人事件

「天帝」シリーズ第二弾! 2007年刊行作品。『天帝のはしたなき果実』に続く、古野まほろの「天帝」シリーズ第二作である。 天帝のつかわせる御矢 (講談社ノベルス) 作者: 古野まほろ 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2007/06/08 メディア: 新書 購入: 1人 …

『線は、僕を描く』砥上裕將 本屋大賞第三位&第59回メフィスト賞受賞作品

砥上裕將のデビュー作 2019年刊行作品。第59回メフィスト賞にして、2020年本屋大賞の第三位に輝いた作品である。その他にも、ブランチBOOK大賞2019を受賞、キノベス!2020では第6位にランクイン。2019年に書かれた作品の中でも、特に高く評価された作品の一つ…

『コンビニなしでは生きられない』秋保水菓 第56回メフィスト賞受賞作品

秋保水菓のデビュー作 2018年刊行作品。筆者の秋保水菓(あきうすいか)は1994年生まれのミステリ作家。本作『コンビニなしでは生きられない』で、第56回のメフィスト賞を受賞し、作家としてデビューしている。 講談社ノベルス版の表紙イラストはukiが担当。…

『アクアリウムの夜』稲生平太郎 地方都市の春夏秋冬を抒情豊かに描いた幻想小説

今週のお題「読書の秋」本日はこちら。 稲生平太郎名義の初小説作品 もともとは1990年に書肆風の薔薇のロサ・ミスティカ叢書から出ていた作品。 アクアリウムの夜 (ロサ・ミスティカ叢書) 作者:稲生 平太郎 書肆風の薔薇 Amazon その後、2002年にスニーカー文…

『風よ僕らの前髪を』弥生小夜子 第30回鮎川賞優秀賞受賞作品

弥生小夜子のデビュー作 2021年刊行作品。作者の弥生小夜子(やよいさよこ)は1972年生まれ。過去には創元ファンタジー新人賞で第1回、第5回で最終選考まで残った実績がある。今回の『風よ僕らの前髪を』では、第30回鮎川賞の優秀賞を受賞し作家デビューを果…

『フラッガーの方程式』浅倉秋成 最高のご都合主義をあなたに!

浅倉秋成の第二作 2013年刊行作品。『ノワール・レヴナント』に続く、浅倉秋成(あさくらあきなり)の第二作である。単行本は講談社BOXレーベルからの登場であった。イラストは中村ゆうひが担当していた。 フラッガーの方程式 (講談社BOX) 作者:浅倉秋成 …

『永遠の出口』森絵都 多感な十代の少女の日々を描く

「永遠」に惹かれた少女時代を描く 2003年刊行作品。集英社の小説誌『小説すばる』に、1999年~2002年にかけて掲載されていた作品をまとめたもの。 永遠の出口 作者:森 絵都 集英社 Amazon 集英社文庫版は2006年に登場している。 おススメ度、こんな方におス…

『この夏のこともどうせ忘れる』深沢仁 十代の「特別な夏」を描いた良短編集

深沢仁の短編作品集 2019年刊行作品。作者の深沢仁(ふかざわじん)は2011年刊行の『R.I.P. 天使は鏡と弾丸を抱く』が、第二回のこのライトノベルがすごい!大賞の優秀賞を受賞し作家デビュー。その後、2012年『グッドナイト×レイヴン』、2013年に『睦笠神社…

ドラマ版『六番目の小夜子』が素晴らしかったので全力で紹介する

ドラマ版『六番目の小夜子』が再放送された! 7月某日、Twitterを眺めていたら驚愕すべき情報が流れて来た。 ✨深夜の #イッキ見まつり✨【#六番目の小夜子】総合で一挙再放送!7/31(土)午前0:11(金曜深夜)8/1(日)午前0:36(土曜深夜)8/2(月)午前0:36(日曜深夜)…

『日田夏物語』岩橋秀喜 あなたの昭和の夏がよみがえる

昭和世代には刺さる作品 2021年刊行作品。作者の岩橋秀喜(いわはしひでき)は1950年生まれ。岐阜大学の工学部を卒業後、技術者として働き、その後学習塾経営者に。更に、1979年には岐阜大学の医学部に再入学し、その後は医師として活躍した人物。 作家とし…

『本と鍵の季節』米澤穂信 ダブル探偵!二人の男子高生が活躍するミステリ

米澤穂信、二年ぶりの新作だった 集英社の小説誌「小説すばる」に2012年~2018年にかけて掲載されていた作品を加筆修正。更に書下ろし一篇を加えて上梓された作品。 一作目となる「913」は2012年刊行の集英社文庫創刊35周年記念のアンソロジー『いつか、君へ…

『青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏』伊与原新 宮沢賢治×ロードノベルの魅力

ブレイクしそうな伊与原新作品 2020年刊行作品。作者の伊与原新(いよはらしん)は1972年生まれ。第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞した、2010年刊行の『お台場アイランドベイビー』がデビュー作。その後『月まで三キロ』では第38回新田次郎文学賞を受賞。『…

『DIVE!!』森絵都 飛び込みの世界を舞台としたスポ根小説

講談社版と角川版がある 2000年刊行作品。当初は講談社から単行本が四分冊で刊行されていた。第52回の小学館児童出版文化賞を受賞している。 しかし何故か文庫版は角川からリリース。文庫化に際して上下巻の二巻構成に改められている。内容的にはかなり手が…

『彼女は死んでも治らない』大澤めぐみ 個性的な文体が冴える「コージーミステリー」

大澤めぐみ作品が光文社から登場 2019年刊行作品。2016年に『おにぎりスタッバー』で商業デビューして以降、『ひとくいマンイーター』『6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。』『君は世界災厄の魔女、あるいはひとりぼっちの救世主』と、角川スニ…

『おにぎりスタッバー』大澤めぐみ 饒舌な一人称文体が魅力の青春小説

大澤めぐみのデビュー作 2016年刊行作品(奥付的には2017年1月1日)。小説投稿サイト「カクヨム」等で活躍していた大澤めぐみの商業デビュー作品である。イラストはU35(うみこ)が担当している。 続編(というか前日譚)に『ひとくいマンイーター』がある。…

『米澤穂信と古典部』 シリーズ15年を記念したムック本

<古典部>シリーズのムック本 2017年刊行作品。米澤穂信(よねざわほのぶ)の人気作<古典部>シリーズのムック本である。英題は『The Memories of Classic Club』。古典部って「Classic Club」なんだ! <古典部>シリーズは2001年に1作目『氷菓』が刊行。2016年…

『赤×ピンク』桜庭一樹 女と少女の狭間 八角形の檻の中で戦う女たちの物語

桜庭一樹の転機となった作品 2003年刊行作品。ファミ通文庫からの刊行。当初はライトノベルレーベルからの登場であった。イラストは高橋しんが担当。 桜庭一樹は1999年の『AD2015隔離都市 ロンリネス・ガーディアン』でデビューしているが、最初の数年間は内…

『麦の海に沈む果実』恩田陸 「理瀬」シリーズの実質的な一作目!

2021年5月26日に恩田陸の「理瀬」シリーズ、17年ぶりの新作長編『薔薇のなかの蛇』が刊行される!嬉しい~ 薔薇のなかの蛇 作者:恩田 陸 発売日: 2021/05/26 メディア: 単行本 ということで、「理瀬」シリーズの旧作紹介をお届けしたい。17年も新作出ていな…

『青の数学2』王城夕紀 数式(まほう)は解け、僕の青春が始まる。

今週のお題「おうち時間2021」に便乗します!おうち時間はひたすら読書です。 王城夕紀の四作目 2016年刊行作品。『天盆』『マレ・サカチのたったひとつの贈物』。『青の数学』に続く、王城夕紀(おうじょうゆうき)の第四作。『青の数学』の続編である。引…

『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』辻真先 ミステリランキング三冠!

〈昭和ミステリ〉シリーズの第二弾 2020年刊行作品。「このミステリーがすごい!2021年版」国内編、「週刊文春2020ミステリーベスト10」国内部門、「ハヤカワ・ミステリマガジン ミステリが読みたい!」国内篇いずれも1位の三冠を達成。2020年を代表するミス…

『青の数学』王城夕紀 その数式(まほう)が君の青春を変える

王城夕紀『青の数学』のネタバレ感想、あらすじ。続篇『青の数学』2の紹介記事もあります。

『冬の朝、そっと担任を突き落とす』白河三兎 暴走する正義感と教室の贖罪

白河三兎が描く学園ミステリ 2021年刊行作品。筆者の白河三兎(しらかわみと)は2009年の『プールの底に眠る』で第42回メフィスト賞を受賞して作家デビューを果たしている。詳細なプロフィールは公開されていない。 表紙イラストはカオミンが担当。開け放た…

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』桜庭一樹 好きって絶望だよね

桜庭一樹の出世作! 2004年刊行作品。最初はライトノベルレーベルの富士見ミステリー文庫からの登場であった。その後、直木賞作家にまでブレイクしてしまった桜庭一樹(さくらばかずき)の出世作である。 桜庭一樹は、1999年のデビュー作『ロンリネス・ガーデ…

『さようならアルルカン/白い少女たち』氷室冴子の初期作品集 幻の四編を初収録

最初期の氷室冴子作品が読める! 2020年刊行作品。氷室冴子デビューの契機となった「小説ジュニア青春小説新人賞」佳作入選作の「さようならアルルカン」に、初文庫作品『白い少女たち』、更に集英社の若年層向け小説誌「小説ジュニア」(雑誌「Cobalt」の前…

『冷たい校舎の時は止まる』辻村深月 第31回メフィスト賞受賞作

辻村深月のデビュー作 2004年刊行。第31回メフィスト賞受賞作品。同賞では、初の試みとして上・中・下の3分冊で6月~8月の三か月にかけて連続刊行された。 2007年の文庫化に際して、上下巻の二巻構成に改められている。 作者の辻村深月(つじむらみづき)は198…

『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』乙野四方字 二つの作品が繋がる瞬間のカタルシス!

映画化決定!二作同時刊行された並行世界モノ 『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』両作は、2016年6月の同時刊行である。 作者の乙野四方字(おとのよもじ)は1981年生まれ。第18回電撃小説大賞《選考委員奨励賞》を受賞した、2012年の『ミ…

『夜のピクニック』恩田陸 2005年の本屋大賞の第1位作品!

恩田陸、高校三部作の完結編 2004年刊行作品。2005年の第2回本屋大賞の第1位に輝いた作品である。 恩田陸としては『六番目の小夜子』『球形の季節』に続く、高校三部作の完結編的な位置づけの作品(クリエイターズワールドの恩田陸インタビューより)とされ…

『そして、ユリコは一人になった』貴戸湊太 『このミステリーがすごい!』大賞、U-NEXT・カンテレ賞作品

貴戸湊太のデビュー作 2020年刊行作品。作者の貴戸湊太(きどそうた)は1989年生まれ。本作がデビュー作となる。第18回の『このミステリーがすごい!』大賞、U-NEXT・カンテレ賞の受賞作。 U-NEXT・カンテレ賞は、この第18回から新たに設けられた枠で、ネット配…

『ルピナス探偵団の憂愁』津原泰水 時系列遡り形式の連作短編集

「ルピナス探偵団」シリーズの第二作! 2007年刊行作品。2004年の『ルピナス探偵団の当惑』に続く、津原泰水(つはらやすみ)の「ルピナス探偵団」シリーズの第二作である。 単行本版は2007年に登場。 ルピナス探偵団の憂愁 (創元クライム・クラブ) 作者:津…

『また君と出会う未来のために』阿部暁子 『どこよりも遠い場所にいる君へ』の続編が登場

『どこよりも遠い場所にいる君へ』の4年後の物語 2018年刊行。2019年に出た、『どこよりも遠い場所にいる君へ』の4年後を描いた続編的な作品。主人公は異なるが、前作の主な登場人物たちも登場するので、ご安心を。 ちなみに、前作の感想はこちらからどうぞ…